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岩手県洋野町の財政状況

🏠洋野町

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収録データの年度

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総括表

人口の推移

財政比較分析表(2023年度)

財政力指数の分析欄

人口の減少(前年同期-296人-2.4%)と併せ、農林水産業以外の中心産業が少ないことから財政基盤が弱く、類似団体平均の0.48ポイントより0.22ポイントと大幅に下回っている。町村合併から間もなく20年を迎えることから、機構改革等による組織の見直しや公共施設等総合管理計画に基づいて施設の適正配置など、行政の効率化を図りながら、自主財源の確保に努め財政の健全化を図る。

経常収支比率の分析欄

前年度より1.0ポイント増の91.3%であり、類似団体平均を上回っているが、類似団体平均も1.0ポイント拡大したことにより、差は3.3ポイントと前年同様であった。公債費(類似団体比較6.4ポイント増)や物件費(類似団体比較0.2ポイント増)、補助費等(類似団体比較0.8ポイント増)が全国平均を上回っている状況である。今後は公債費残高が減少する見込みであるものの、給与改定に伴う人件費の増や物価高騰の影響等により施設管理費等の経常的支出が増加する見込みである。人口減少により交付税額の減が見込まれることもあり、人件費抑制や補助金見直し等により経常経費の縮減を図る。

人口1人当たり人件費・物件費等決算額の分析欄

1人当たり決算額は前年度と比べ21,041円増加、前年度同様に類似団体平均を大幅に上回った。分母側の人口減少は避けられないことから分子側の伸びを抑制する必要がある。人件費は前年度比較で-21,542千円(-1.1%)の減となったものの、物件費は公共施設の解体撤去等により129,848千円(8.6%)増となった。今後は公共施設等総合管理計画に基づき、老朽化した未利用公共施設の解体を予定していることから、物件費の決算額は高い位置で推移するものと思われるが、定員管理適正化による人件費抑制に努めるなど、経費削減に努める。

ラスパイレス指数の分析欄

前年比で0.2ポイント増となり、類似団体平均との差は3.7ポイントに縮小した。高齢・高給者の退職により0.1ポイント減となったが、国の引き上げ率を0.3ポイント上回った。国と比べ、若年層(給与改定の影響を大きく受けやすい)の比率が高かったものと考えられる。総人件費の削減に努める一方でラスパイレス指数の改善にも取り組む必要があり、両方のバランスを取りながら適正な定員管理を進める。

人口1,000人当たり職員数の分析欄

前年比で0.01ポイント減少し、類似団体平均との差は2.83ポイントに縮小した。一般職員等における職員数は対前年度5人減となったことが影響したものである。今後は再任用職員や定年延長を加味しつつ、定員管理計画に基づき適材適所・適正配置を基本とした定員管理を推進していく。

実質公債費比率の分析欄

前年度比で0.1ポイント増加し、類似団体平均との差は3.5ポイントに拡大した。単年度では比率が増加したが、公債費は今後減少する見通しであり、予算の選択と集中を徹底し町債発行の平準化に努め、プライマリーバランスの黒字を確保し引き続き比率改善を図る。

将来負担比率の分析欄

地方債現在高及び公営企業債等繰入見込額の減により、将来負担比率無しとなった。今後も起債発行の平準化等により地方債現在高をコントロールするとともに、可能な限り有利な起債を活用し算入公債費の確保に努める。基金の計画的な管理運用等により充当可能財源を確保し持続可能な財政運営を目指す。

経常経費分析表(経常収支比率の分析)(2023年度)

人件費の分析欄

前年度比0.5ポイント減少したが、類似団体平均との差は1.5ポイントに拡大した。職員数が5人減となったものの、会計年度任用職員等は増の傾向にあることから、計画的な定員管理の推進が必要である。

物件費の分析欄

前年比1.2ポイント拡大したが、全国的な物価高騰の影響によるものであり、類似団体平均に比べ0.2ポイント上回った。本町においても、主に燃料高騰による光熱水費の増により、物件費の経常経費全体で70,675千円の増となった。今後、施設の老朽化に伴う物件費の増加が見込まれることから、公共施設等総合管理計画に基づき施設の統廃合などによる物件費の徹底した見直しを行い改善に努める。

扶助費の分析欄

昨年度は扶助費の経常収支比率の算定にあたり、臨時経常区分の誤りがあった。昨年度数値は見直しの結果5.1ポイントであり、前年度より0.1ポイント拡大し、類似団体平均から0.9ポイント下回った。町民サービスに直結する経費であり、町単独事業で子ども医療費給付などを実施しているが、財政を過度に圧迫することのないように注視する必要がある。

その他の分析欄

その他に係る経常収支比率は前年より2.5ポイント縮小し、類似団体比を1.7ポイント下回った。公共下水道事業特別会計への繰出金の減により、繰出金の経常経費全体で-208,841千円、-26.8%の減となったもの。特別会計においては独立採算の原則に立ち、一般会計に負担が生じる繰入れに依存しないように、引き続き努める。

補助費等の分析欄

前年度比2.2ポイント減少し、類似団体平均との差は0.8ポイントに拡大した。久慈広域連合への負担金等の増により、補助費等の経常経費全体で41,217千円の増となった。今後とも、通常事業分については町単独補助金の整理や合理化を図り、補助費等の抑制に努める。

公債費の分析欄

前年度比1.7ポイント減少し、類似団体平均との差は6.4ポイントに縮小した。公債費は今後減少していくことが見込まれるが、今後においてもプライマリーバランスの確保、実質公債費比率の動向を見極めながら、緊急性、必要性を検討し事業の取捨選択に努める。

公債費以外の分析欄

公債費以外の経常収支比率は前年度比2.7ポイント拡大したが、類似団体平均が前年度から1.5ポイント拡大したことにより、類似団体平均を3.1ポイント下回った。経常的支出のうち物件費、補助費等及び維持補修費が増となったことが要因となっている。経常経費であり簡単に削減することのできない費目ではあるが、町単独補助金の整理合理化を図るなどし、引き続き抑制に努める。

目的別歳出決算分析表(住民一人当たりのコスト)(2023年度)

議会費

労働費

消防費

諸支出金

総務費

農林水産業費

教育費

前年度繰上充用金

民生費

商工費

災害復旧費

衛生費

土木費

公債費

目的別歳出の分析欄

民生費は住民一人当たり204,517円となっており、昨年度と比較して-0.1%減となっている。主な要因は、種市こども園施設整備費補助金(-169,998千円)減や物価高騰対応重点支援交付金(170,310千円)増等によるもの。衛生費は住民一人当たり77,995円となっており、昨年度と比較して6.8%増となっている。主な要因は、久慈広域連合塵芥処理負担金(13,846千円)増や出産子育て応援給付金(-1,000千円)減等によるもの。農林水産業費は住民一人当たり59,549円となっており、昨年度と比較して3.1%増となっている。主な要因は、酪農・繁殖牛農家応援交付金(16,765千円)増や町営製氷貯氷施設運営費補助金(7,000千円)増等によるもの。商工費は住民一人当たり33,047円となっており、昨年度と比較して4.5%増となっている。主な要因は、ブルーツーリズム推進事業(41,013千円)増や消費喚起生活者支援給付金(44,733千円)増等によるもの。土木費は住民一人当たり54,166円となっており、昨年度と比較して15.6%増となっている。主な要因は、除雪業務委託料(65,400千円)増等によるもの。消防費は住民一人当たり42,840円となっており、昨年度と比較して33.3%増となっている。主な要因は、地域防災計画改定業務委託料(3,179千円)増や津波避難計画策定業務委託料(8,987千円)増等によるもの。教育費は住民一人当たり68,370円となっており、昨年度と比較して4.8%増となっている。主な要因は、教職員住宅解体工事(4,939千円)増や通学バス購入費(18,895千円)増等によるもの。

性質別歳出決算分析表(住民一人当たりのコスト)(2023年度)

人件費

補助費等

災害復旧事業費

投資及び出資金

物件費

普通建設事業費

失業対策事業費

貸付金

維持補修費

普通建設事業費(うち新規整備)

公債費

繰出金

普通建設事業費(うち更新整備)

積立金

前年度繰上充用金

性質別歳出の分析欄

共通項目として、分母となる人口が減少していることから、全体的に住民一人当たりコストは増加傾向にある。物件費は住民一人当たり109,335円となっており、昨年度と比較して11.2%増となっている。主な要因は、公共施設等の解体撤去(23,816千円)増等によるもの。扶助費は住民一人当たり99,373円となっており、昨年度と比較して3.9%増となっている。主な要因は、電力・ガス食料品等価格高騰緊急支援給付金(社会福祉費-34,810千円)減や物価高騰対応重点支援交付金(170,310千円)増等によるもの。補助費等は住民一人当たり130,398円となっており、昨年度と比較して5.7%増となっている。主な要因は、消費喚起生活者支援給付金(44,733千円)増等によるもの。普通建設事業費(うち更新整備)は住民一人当たり25,120円となっており、昨年度と比較して87.5%増となっている。主な要因は、防災行政無線操作卓改修工事(54,450千円)増や大野地区中心街街路灯LED化工事(16,742千円)増等によるもの。公債費は住民一人当たり100,383円となっており、昨年度と比較して-6.0%減となっている。主な要因は、過疎対策事業債(-11,212千円)減、辺地対策事業債(-15,016千円)減等によるもの。令和5年度以降減少が見込まれる。積立金は住民一人当たり14,062円となっており、昨年度と比較して-57.8%減となっている。主な要因は、公共施設等整備基金積立金(-49,009千円)減等によるもの。

実質収支比率等に係る経年分析(2023年度)

分析欄

アフターコロナとなり、中止していた事業が再開した影響等により、財政調整基金を250,000千円取り崩したことから、残高は-182,913千円減となり標準財政規模比で38.43%、-2.55%減となった。令和元年度以来の取り崩しとなったが、今後も基金の取り崩しが見込まれることから、繰入れの抑制を図りつつ積立額をコントロールし基金の持続可能な活用を図る必要がある。実質収支については、歳入歳出差引額が減少(令和4:69,275千円→令和5:31,682千円)し、実質収支は-37,593千円の減となり、標準財政規模比で0.46%(-0.55ポイント)となった。今後は、人口減少に伴う地方交付税の実質的な減、給与改定に伴う人件費の増や物価高騰の影響等により今後一層厳しい財政状況が見込まれることから、経常経費の縮減を進めるなどの努力が必要である。

連結実質赤字比率に係る赤字・黒字の構成分析(2023年度)

分析欄

病院事業については、剰余額が934,585千円となり、昨年度と比較して-69,660千円の減、標準財政規模比で-0.97ポイントの減となった。主な減の要因は医業外収益における新型コロナウイルス感染症入院施設等確保事業補助金の減少などであり、地域医療の主導的な役割を担う病院であることから、医業収益を確保し、良質な医療・介護サービスの提供に努めて行く必要がある。水道事業については、剰余額が809,078千円となり、昨年度と比較して27,620千円の増、標準財政規模比で0.44ポイントの増となった。主な増の要因は事業収益の減少よりも事業費用の減少が大きかったものであり、今後においても給水人口の減少等により厳しい事業経営が予測されるが、町民生活の根幹を支える重要なライフラインであることから、安全で良質の水の安定供給に努めて行く必要がある。国民健康保険会計については実質収支が45,018千円の増となったことから、標準財政規模比で1.34%、0.66ポイント増となった。一般会計については、実質収支が-80,524千円の減となったことから、標準財政規模比で0.46%、-0.54ポイント減となった。その他の会計についても、一般会計からの繰入金等で黒字を維持している状況であるが、一般会計の負担を必要最少限に抑えるため、基準外繰入を抑えるよう努め、収支均衡を図っている状況である。

実質公債費比率(分子)の構造(2023年度)

分析欄

元利償還金については令和4年度をピークに減少傾向に転じたところであり、令和5年度は-136,569千円減となった。過疎対策事業債-11,212千円減、合併特例債-36,254千円減等が要因である。実質公債費比率の分子についても減少し、令和5年度は635,160千円(-9.5%)減となった。事業費補正により基準財政需要額に算入された公債費は-13,835千円減、災害復旧費等に係る基準財政需要額は、東日本大震災全国緊急防災施策等債、合併特例事業債の減等により-60,944千円減となり、基準財政需要額算入額は-82,520千円減となった。公債費は今後減少していく見通しであるが、健康福祉総合センターや大野小学校改築事業など、大規模事業が見込まれていることから、基金や有利な起債を有効活用しつつ規模を一定程度維持しながら、住民サービスを低下させることのないように努めていく。

将来負担比率(分子)の構造(2023年度)

分析欄

将来負担額は、これまで発行してきた地方債残高が令和5年度末で10,110,305千円であり、前年度に比べて-971,127千円(-8.8%)減、公営企業債等繰入見込額は前年比-355,001千円(-9.2%)減、退職手当負担見込額は前年比52,877千円(10.4%)増となった。全体では-1,273,905千円(-8.2%)減となった。充当可能財源等は、財政調整基金が前年度に比べ-306,680千円減、減債基金が21,178千円増となっており、充当可能基金全体では-296,419千円(-5.7%)減となった。基準財政需要額算入見込額は、前年度に比べ-808,649千円(-7.9%)減となった。標準財政規模は、6,849,493千円で前年度に比べ-20,507千円(-0.3%)減となった。前年度に引き続き本年度は将来負担額が充当可能財源等を下回ったため、将来負担比率は無しとなった。算式の分子において、基準財政需要額算入見込額の減により充当可能財源は減となったものの、地方債現在高の減、公営企業債等繰入見込額の減等により将来負担額が減となったことによるものである。

基金残高に係る経年分析(2023年度)

基金全体

(増減理由)アフターコロナとなり、中止していた事業が再開されたことや物価高騰の影響等を受け、財政調整基金250,000千円を取り崩した影響等により、令和4年度から令和5年度にかけては-306,680千円減となった。減債基金は21,178千円増となったが、財政調整基金が-182,913千円減、その他の特定目的基金の福祉基金が-63,017千円減、公共施設等整備基金が-48,600千円減等となり、基金全体では減となったもの。(今後の方針)歳入においては人口減少による税収や普通交付税の減少が見込まれ、令和4年度をピークに年々減少傾向に転じる見込みである。歳出においては機構改革やデジタル化による行政効率化、公共施設の統合を含めた適正管理等、あらゆる事業見直しにより基金を確保し、行財政運営の維持にあたる必要がある。

財政調整基金

(増減理由)決算剰余金及びふるさと納税分等67,087千円を積立てたが、250,000千円を取り崩したことにより減額となった。(今後の方針)財政状況が厳しさを増す中、取り崩しが積み立てを上回る状況が続き残高は減少していく見込み。人口減少が続く町の規模に合わせた事業のダウンサイジングを徹底することで繰入れの抑制を図りつつ、町民サービスの質量の低下を招かないよう留意して適宜適切に積立額をコントロールし、有利な基金運用も含め基金の有効活用を図る必要がある。

減債基金

(増減理由)臨時財政対策債償還基金費分26,049千円及び下水道償還費補助金66千円を積立て、公債費償還金増額相当分として4,937千円の繰入れを行ったことにより21,178千円増となった。(今後の方針)健康福祉総合センターや大野小学校改築事業等の大型事業が今後見込まれることから、減債基金の残高も減少していくことが見込まれ、今後も残高を維持するため計画的な起債発行を図る。

その他特定目的基金

(基金の使途)合併振興基金:合併に伴う地域の振興及び住民の一体感醸成。福祉基金:町民の保健福祉の増進。ふるさと創生基金:伝統、文化、産業等を活かした特色のある町づくり。公共施設等整備基金:町が行う公共施設その他の施設の整備。農山漁村地域活性化基金:農山漁村地域の活性化を図る。(増減理由)福祉基金:積立額が14,583千円(ふるさと納税分)であったのに対し、各事業に充当するための取崩額が77,600千円であり-63,017千円減となったもの。公共施設等整備基金:積立額が7,000千円であったのに対し、各事業に充当するための取崩額が55,600千円であり、-48,600千円減となったもの。ふるさと創生基金:積立額が7,521千円(ふるさと納税)であったのに対し、各事業に充当するための取崩額が45,750千円であり、-38,229千円減となったもの。(今後の方針)福祉基金は、着実に増大している社会保障費に対し、町民サービスのレベルを維持していくため、取り崩しは避けられない。その他の特定目的金についても財源不足により継続的な活用が見込まれるものの、これ以上の基金残高の減は一般的な公共サービス低下を招く恐れもあるため、機構改革や公共施設の統合、行政サービスの電子化などを進め、人件費を含む全ての事業で事業の廃止を含む見直しを進めることにより取崩額の抑制を図る。積立については、ふるさと納税を含め積立額の確保に努める。

公会計指標分析・財政指標組合せ分析表(2022年度)

有形固定資産減価償却率の分析欄

資産の減価償却がどの程度進んでいるか資産の経年の程度を表す有形固定資産減価償却率は71.6%で、昨年度より1.5ポイント上昇し老朽化が進んでいる状況にある。また、類似団体平均を5.9ポイント上回っていることから、令和4年3月に改訂した公共施設等総合管理計画及び令和3年3月に策定した個別施設計画に基づき、計画的な修繕、長寿命化及び統廃合による施設の品質保持や機能改善に努める。

債務償還比率の分析欄

債務償還に充当できる一般財源(経常経費一般財源-経常経費充当財源ー償還充当限度額)に対する実質債務(将来負担額-充当可能財源)の比率である債務償還比率は、371.6%となり、類似団体平均を3.5ポイント上回っているが、昨年度より62.3ポイント改善した。将来負担額は減少が続く見込みだが、人口減少等により経常一般財源等の確保は厳しさを増すことから比率の減少傾向は頭打ちとなる見込み。

分析欄:将来負担比率及び有形固定資産減価償却率の組合せによる分析

令和4年度における将来負担比率はマイナス算定、有形固定資産減価償却率は71.6%であり類似団体の平均を5.9ポイント上回った。将来負担比率は、東日本大震災以降概ね減少傾向にあり、地方債現在高及び充当可能基金現在高も今後減少が見込まれることから、類似団体との均一化が進むものとみている。また、有形固定資産減価償却率は類似団体と比較して高い数値であるため、令和4年3月に改訂した公共施設等総合管理計画及び令和3年3月に策定した個別施設計画による計画的な修繕、改善及び統廃合を進める必要がある。

分析欄:将来負担比率及び実質公債費比率の組合せによる分析

将来負担比率については、上記のとおり減少傾向である。実質公債費比率は上昇傾向にあったが令和2年度からは改善に転じている。公債費は令和4年度にピークを迎えその後減少する見込みである。実質公債費比率は、依然として類似団体の平均を上回っていることから、指標を注視しながら引き続きプライマリーバランスの黒字を確保し、適切な起債活用に努める。

施設類型別ストック情報分析表①(2022年度)

道路

橋りょう・トンネル

公営住宅

港湾・漁港

認定こども園・幼稚園・保育所

学校施設

児童館

公民館

施設情報の分析欄

有形固定資産減価償却率は、道路から公民館までほとんどの資産において類似団体を上回る数値となっている。これは、種市町と大野村が平成18年に合併した洋野町において旧両町村の類似資産重複があることや、施設の修繕及び長寿命化等が類似団体と比較して進んでいないことを表している。特にも、公営住宅や港湾・漁港、児童館、公民館は減価償却率が高い状況にあり、計画的な修繕、改善及び統廃合を進める必要がある。学校施設の有形固定資産減価償却率が類似団体とほぼ同値であるのは、種市中学校、種市小学校及び中野小学校の改築が大きく寄与しているものと考えられる。また、令和2年度に認定こども園・保育所・幼稚園の有形固定資産減価償却率が大きく低下したのは大野こども園の新築によるものである。

施設類型別ストック情報分析表②(2022年度)

図書館

体育館・プール

福祉施設

市民会館

一般廃棄物処理施設

保健センター・保健所

消防施設

庁舎

施設情報の分析欄

図書館から庁舎までの各施設においても、有形固定資産減価償却率が類似団体平均と比較して高い傾向は変わっていない。一人当たり面積については、特に図書館、体育館・プール及び市民会館において類似団体平均を上回っており、旧種市町と旧大野村でそれぞれ保有していた現有施設の重複等が要因と考えられるため、施設の集約や規模の適正化を図る。常備消防施設及び一般廃棄物処理施設については久慈広域連合において広域実施しているものであるが、消防施設については洋野消防署が平成29年度に供用開始したことにより減価償却率が改善したものの、依然として類似団体平均より高い数値となっている。また、一般廃棄物処理施設については平成30年度から令和2年度まで実施した基幹的設備改良工事が完了したため大きく数値が改善し、令和3年度には、し尿処理場が移転新設したことによりさらに数値が改善した。

財務書類に関する情報①(2023年度)

資産合計

負債合計

1.資産・負債の状況

一般会計等においては、資産総額が年々減少しており、令和元年度から比較すると5年間で78億円ほどの減の498億21百万円となっている。また、負債総額についても年々減少しており、令和元年度から比較すると32億円ほどの減の109億4百万円となっている。水道や病院、国保事業などの特別会計を含めた全体及び広域連合等を含めた連結とも、同様の傾向となっている。資産総額の減については、減価償却によるところが大きく、新規に取得した施設はあったものの既存施設の減価償却額が上回っている。なお、同じ期間でみると、財政調整基金の残高は約5億円増え26億円となっている。負債総額の減については、地方債の減によるところが大きく、新町発足時に借入した合併特例債などの償還完了に併せ、新規地方債の抑制により、地方債残高が減少しているところが大きい。

純経常行政コスト

純行政コスト

2.行政コストの状況

行政コストについては、令和2年度のコロナ禍時に一時的に急増したものの、それ以外の年度は物価や人件費の上昇に併せ、増加傾向となっている。一般会計等の純経常行政コストにおいては、令和元年度から比較すると5年間で5億84百万円の増の104億39百万円、純行政コストにおいては、同じく4億21百万円の増の104億76百万円となっている。水道や病院、国保事業などの特別会計を含めた全体及び広域連合等を含めた連結とも、同様の傾向となっている。一般会計等の内訳をみると、5年間で大きく増えている項目は、補助金等が2億30百万円増の28億56百万円、人件費が1億87百万円増の19億51百万円となっているが、今後も少子高齢化の進展や物価上昇に伴う賃金の見直しなどにより、同様の傾向は続くことが見込まれることから、既存事業の見直しにより、経費の抑制に努める必要がある。

本年度差額

本年度末純資産残高

本年度純資産変動額

3.純資産変動の状況

一般会計等においては、税収等の財源が純行政コストを下回っており、純資産はいずれもマイナス変動となっている。全体・連結とも同様の傾向となっているが、令和2年度のコロナ禍時には、連結の税収等の財源が純行政コストを上回り、本年度差額が2億25百万円のプラスとなった。減価償却による行政コストの計上は、純資産の減とも連動しており、一般会計等における令和5年度の本年度差額は9億64百万円の減となった。行政コストの削減に努めながら、必要に応じて施設の更新等による資産の形成にも取り組む必要がある。

業務活動収支

投資活動収支

財務活動収支

4.資金収支の状況

一般会計等においては、業務活動収支について、令和5年度においては、人件費や物件費等の業務費用支出が84億2百万円、補助金や社会補償給付などの移転費用支出が43億73百万円となり、税収や国県補助金等の業務収入91億66百万円を上回り、11億94百万円となった。投資活動収支について、令和5年度においては、公共施設等整備費等を含む投資活動支出が11億24百万円、国県補助金や基金取崩等を含む投資活動収入が8億28百万円となり、▲2億95百万円となった。財務活動収支について、令和5年度においては、地方債償還を含む財務活動支出が14億82百万円、地方債発行収入を含む財務活動収入が5億11百万円となり、▲9億71百万円となった。全体では、令和5年度においては、水道等における過年度の施設整備に係る地方債償還支出が20億13百万円、新規事業が少ないため地方債発行収入6億84百万円を上回るなどし、財務活動収支が△12億60百万円となったが、国保税や水道料などの収入などがあることから、業務活動収支が17億78百万円となった。

財務書類に関する情報②(2023年度)

①住民一人当たり資産額(万円)

②歳入額対資産比率(年)

③有形固定資産減価償却率(%)

1.資産の状況

住民一人当たり資産額及び歳入額対資産比率は、旧市町村ごとに整備した類似施設が残っていることから、保有する施設数が非合併団体よりも多いことが見込まれ、類似団体平均を上回っている。しかし、有形固定資産減価償却率は、類似団体平均よりも高いことから、老朽化した施設が多いことが分かる。資産額は減価償却により年々減少しており、令和5年度は、住民一人当たり資産額が331万円(前年比▲4.3万円)となったが、歳入総額の減少は小幅であったことから、歳入対資産比率が4.49年(前年比▲0.1年)となった。平成28年に公共施設等総合管理計画を策定し、供給量の適正化や既存施設の有効活用、効率的な管理運営といった基本方針のもとに取り組んでおり、過疎債を財源に、不要となった公共施設の除却も進めており、引き続き、公共施設等の統廃合を進めながら、維持管理経費の縮減にも努める必要がある。

④純資産比率(%)

⑤将来世代負担比率(%)

2.資産と負債の比率

純資産比率は、類似団体平均と同程度であり、純行政コストが税収等の財源を上回っている状況であるが、令和5年度は純行政コストが前年度を下回ったことから、純資産比率が微増となっている。純資産の減少は、将来世代が利用可能な資源を過去及び現世代が費消して便益を享受したことを意味することから、事務事業の見直しなどを進めながら、行政コストの削減に努める。

⑥住民一人当たり行政コスト(万円)

3.行政コストの状況

令和3年度から、類似団体平均を大きく上回っており、令和5年度は前年から3.1万円増え69.6万円となった。物件費や移転は各年度で増減しているが、人件費は増加を続けており、行政コスト増の要因となっている。保育所など、直営で運営している施設もあることから、人口の状況を見ながら可能なところから統廃合を進めるなどの取り組みが必要である。

⑦住民一人当たり負債額(万円)

⑧基礎的財政収支(百万円)

4.負債の状況

住民一人当たり負債額は類似団体平均を上回っているが、負債合計については、新町発足時に借入した合併特例債などの償還完了に併せ、新規地方債の抑制により減少している。今後は、計画的な地方債の発行により、次世代に必要な施設の整備等を進めながら、適正な地方債残高となるよう管理を進める。

⑨受益者負担比率(%)

5.受益者負担の状況

受益者負担比率は類似団体平均を下回っており、特に令和5年度は、1.2ポイントと大きく下回っており、行政サービス提供に対する直接的な負担の割合は低くなっている。経常費用が114百万円増となっているのに対し、経常収益が99百万円減となっていることが要因である。行政コストの削減に取り組むとともに、受益者負担の適正化に向けた検討を進めていく。

出典: 財政状況資料集, 統一的な基準による財務書類に関する情報,