経営の健全性・効率性について
①経常収支比率は、前年度より3.3%改善しているが、基地用水道使用料(18.0%増)の増加が給水収益を伸ばした大きな要因であるため、次年度以降、逆に大幅減少に転じる可能性がある。本市は、県内類似団体と比較して給水区域が広く、施設の維持管理コストが多くなるため、引き続き、漏水量の減少に重点的・効果的に取り組み、費用の節減、経営の効率化に努める必要がある。③流動比率は、100%かつ平均値を上回り、支払能力は健全な状態にある。④企業債残高対給水収益比率は、平成23年度以降、企業債を発行していないことから、企業債残高は徐々に減少傾向にあり、平均値より低い比率である。一方で、引き続き、老朽化及び耐震化対策のための施設整備事業を計画的に直実に実施していくためには、財源を確保する手段として投資規模の適正化と世代間負担の公平性、財政の健全性を踏まえた企業債の発行を検討する必要がある。⑤料金回収率は、平均値よりも5%(3年平均値)近く低い比率であったが、今年度は基地用水道使用料(18.0%増)の増加など給水収益が増大した。前年度より約2.8%改善し平均値なみへ改善したが、依然として施設・設備の老朽化が進行すると見込まれており、経営の効率化による経常費用の節減に取り組む一方で、施設を維持するうえで、必要な適正原価に見合った必要な水道料金水準を検証することが不可欠となる。⑥給水原価は、平均値並びに県内類似団体より高く、給水原価の低減に取り組む必要がある。施設の効率化に伴う維持管理費の削減、業務の効率化や民間の活用など、経費削減へ積極的に取り組む必要がある。⑦施設利用率は、平均値より高い状況にあるが、一方で減少傾向にある。老朽化施設の更新時には、施設規模のダウンサイジングや統廃合を図るなど、効率性を高める対応が不可欠である。⑧有収率は、平成26年度以降、老朽管路の更新・修繕に重点的に取り組んできた効果により、年々上昇傾向にあり、平均値を上回っている。しかし、依然として市内全域において、老朽管路が多く点在しており、有収率の低下は事業経営への影響が大きいことから、有収率の維持は、本市水道事業において、最優先課題である。そのため、重点的に効果的な漏水調査と早期修繕、計画的な管路更新に取り組む必要がある。
老朽化の状況について
①有形固定資産減価償却率は、減価償却がどの程度進んでいるのか(古くなっているのか)を表す指標で、平均値と同様に年々上昇傾向。法定耐用年数に近い保有資産が多いことを示している。本市は地理的に広域的であるため、県内類似団体に比べ配水池や管路総延長が多くなるため、構築物や機械及び装置の割合が多く、減価償却率の増加とともに修繕コストの増加、施設の更新費用の増加が予測される。②③管路経年化率は、法定耐用年数を超えた管路延長の割合を表す指標。平均値に比べて低い数値となっているが、老朽化が進行してことがわかり、今後も一定割合で増加し続けることが見込まれる。管路更新率は、平均値と同程度の比率となっている。引き続き、管路の老朽化に適切に対応するため、老朽度、重要度に応じて計画的に更新・耐震化を進める必要がある。また、重要給水拠点施設の耐震化と基幹管路の耐震化に取り組みことが求められており、管路の更新計画は、財源確保を含めて、重要課題となる。
全体総括
本市水道事業は、4市町の合併に伴い、給水区域が大幅に拡大し、県内11市中2番目に管路総延長が長い。また、合併前に旧4市町で管理していた水道施設を一括管理しており、多くの配水池などを保有・管理することになる。こうしたなか、有形固定資産減価償却率及び管路経年化率が年々上昇傾向にあるなど、水道施設の多くは、今後順次更新時期を迎えるとともに、膨大な事業量を要することになる。そこで、アセットマネジメントの考え方に基づいた更新計画の策定が重要となる。さらに、長期的な水需要を踏まえた必要な機能を保持した最適な施設規模、施設の効率化を図る必要がある。今後の水需要や施設の老朽化など水道事業を取り巻く状況に的確に対応し、「企業の経済性発揮、公共の福祉増進、企業の効率的運営」に重点を置き、収益を可能にするための効率的な経営に不断に取り組む必要があるため、平成30年度において経営戦略(経営計画)を策定し、経営基盤の強化及び経営の効率化に重点的に取り組んでいく。