経営の健全性・効率性について
①経常収支比率については、黒字である100%以上となっており収益で費用をある程度補えている状態であるが、類似団体平均値を下回っている。これは、給水収益の減少や費用の増加が影響している。②累積欠損金比率は0%であり、累積の欠損金が発生していない。③流動比率についても508.20%と100%以上となっているが、平成28年度より大幅に下がっている。これは資産運用の投資により、現金預金が減少しことが影響している。④企業債残高対給水収益比率は、平成8年度以降起債していない為、現状においては比較的低い値で推移している。⑤料金回収率は、100%を下回っている状況であるが、これは基地給水の減少や更新工事費用の増大が要因となっている。⑥給水原価は、管路更新工事費用の増大に伴い、平成28年度より増加傾向にあるが、昨年に比べコスト削減等により減少している。⑦施設利用率は、一日平均配水量が減少した為、昨年に比べ減少している。⑧有収率については、前年比△1.78%の減少がみられる。今後は配水分析をもとに漏水調査や老朽管路の取替を進め、適切な水量・水圧の維持管理を行い、95%以上を目指す。全体的に各指標については、おおむね良好である。しかし、給水収益が前年度より減少し、一人当たりの給水量も減少している。これは、一般家庭で使用する節水器具の普及や市販の飲料水(ペットボトル、レンタルボトルサーバ等)の購入が大きく影響をしていると考えられる。今後は費用対効果もそうだが、更新の費用も十分考慮した事業運営を行い、経営の健全性、効率性を目指す。
老朽化の状況について
①有形固定資産減価償却率は、数値が100%に近いほど、保有資産が法定耐用年数に近づいていることを示しており、将来の施設の更新等の必要性を推測することができるとされている。今後は現状の把握、将来の分析を行い更新計画の平準化や見直しを図りながらしっかりと老朽施設の更新等を実施していく。②管路経年化率は、法定耐用年数を超えた管路延長の割合を表す指標で、管路の老朽化度合を示している。数値が高い場合は、法定耐用年数を経過した管路を多く保有しており、管路の更新等の必要性を推測するとこができるものだが、本市においては、類似団体とも比較してもわかるように依然2~3%台である。③管路更新率は、2%台となっているが今後も更新等の財源確保や経営に与える影響を十分踏まえながら、耐震化も考慮した、強靭で持続可能な施設づくりを進めていく。
全体総括
1.経営の健全性・効率性では、類似団体平均値及び全国平均値と比較した場合、本市の数値は比較的良好な数値もしくは近い数値となっているが、前年度より減少した給水収益の影響から①の経常収支比率、③流動比率は大きく減少したものとなった。2.老朽化の状況については管路経年化、更新率ともに高い数値となっているが、以前低い数値となっている。全国各地ですでに始まっている本格的な人口減少期にはまだ突入していないが、一人当たりの給水量が減少している状況を鑑みると、給水収益の大幅な増収は見込めず、今後の更新費用についても財源確保や経営に与える影響を十分に考慮する必要がある。その為、財政収支計画の策定や定期的な見直しを図りながら、投資の平準化や事業量の中長期にわたる構想を十分に検討し、将来にわたり持続可能な水道事業運営を目指す。