経営の健全性・効率性について
本市の特定環境保全公共下水道事業は、単独処理場1箇所と汚水中継ポンプ場4箇所があります。本市では、ほかに公共下水道事業、農業集落排水事業も実施していますが、3事業とも同一の料金体系としています。平成27年度から地方公営企業会計に移行し、7回目の決算となりましたが、①経常収支比率は、95.04%で100%未満となり単年度収支が7期連続の赤字となりました。⑤経費回収率についても87.47%で100%未満となり汚水処理費用を使用料収入で賄えていない状況であり、依然として一般会計からの繰入金に依存した経営となっています。営業収益に対する累積欠損金の状況を表す②累積欠損金比率は243.29%となり前年度比10.12%悪化しました。当年度の総費用が総収益を上回るため欠損金が発生しており、その欠損金を補填する剰余金もなく、また、累積欠損金の額そのものが大きいためです。累積欠損金を解消するためには当年度の欠損金を減らす若しくは発生させない必要があり、今後も建設費や維持管理費について、効率的、計画的に取り組むことによってコストを抑制していきます。④企業債残高対事業規模比率は、企業債残高の減により26.58%の減となっているものの類似団体平均値より高い状況です。
老朽化の状況について
本事業については、平成4年の供用開始から30年が経過しようとしており、全てのポンプ場施設において電気設備・機械設備の老朽化が進んでいます。長寿命化計画やストックマネジメント計画に基づき、国庫補助事業の採択を受けながら更新の優先度が高いとされたポンプ場施設の改築・更新を実施しています。また、老朽化対策と合わせて、処理場及びポンプ場施設の耐震化も進めていきます。
全体総括
本事業については、処理区域人口の少ない地域を対象としているため、汚水処理原価が高くなる傾向があります。そのうえ、下水道使用料は全国平均に比べ安価に設定されています。事業費に見合った使用料収入の確保のため令和元年9月分から使用料値上げを行いました。安定した下水道事業サービスの持続と施設の老朽化へ対応するためには使用料値上げは不可避であり、令和5年度にも値上げを行う予定です。また、老朽化対策としてストックマネジメント計画に基づき、更新事業を計画的に進めています。本市は今後数年は人口増が見込まれますが、いずれ人口が減少していくことが予想されるため将来を見据えた経営が必要と考えています。持続可能な下水道事業経営のため「下水道事業経営戦略」に基づき、経営基盤の強化と財政マネジメントの向上を目指します。