経営の健全性・効率性について
経営の健全性を示す経常収支比率は100%を達成している。また、使用料収入で必要経費を賄う指標である経費回収率も89.84%であり、汚水処理費や施設の維持管理費は使用料である程度賄うことができていると考えられるため健全な経営ができているといえる。経費回収率に関連して、汚水処理原価については不明水流入の影響があるものの令和2年度から4.06円下がった。農業集落排水地区の統合により有収水量が増えるため、次年度も下がっていく見込みである。財務の安定性を示す流動比率は25.76%と100%を大きく下回っているが、使用料収入や一般会計繰入金等の原資で企業債の償還を予定している。企業債残高対事業規模比率は、類似団体と比較しても高い数値であり、次年度も農業集落排水地区の統合により関連する企業債の発行はあるものの、使用料収入が増えることで比率は下がっていく見込みである。施設利用率については不明水の流入量が影響すると考えられる。特に冬期間に発生する消雪水が老朽化したマンホール蓋から流入することを防ぐため、計画的にマンホール蓋の更新を実施している。また、管渠の破損等により地下水の流入がないかカメラ調査を計画的に実施していくこととしている。水洗化率は89.52%であるが、供用開始から年数が浅い地域があり今後数年は上昇傾向が続くと見込まれる。
老朽化の状況について
市が所有する処理場である「五箇クリーンセンター」は、平成11年に供用を開始し、施設が老朽化しつつあるが、更新時には施設規模の縮小を検討することとしている。管渠については、入替や更生はほとんど行っていないが、ストックマネジメント計画を基に当面は現状の維持管理を予定している。
全体総括
令和元年度に公営企業会計に移行したことにより、今まで以上に高いコスト意識を持ち、水洗化率の向上による収益増と老朽化しつつある処理設備の長寿命化やマンホール蓋の更新による不明水の削減等で維持管理費の節減に努め、より健全で有効的な下水道事業運営を図っていく。当面は農業集落排水地区の統合による接続世帯の増加による使用料収入の増加が見込まれるため比較的安定した経営ができる見込みである。なお、平成28年度に策定した経営戦略は、公営企業会計に移行したこと、また、策定から4年を経過したことから令和2年度に改定を行ったが、中間の見直しを令和6年度に行う予定としている。