経営の健全性・効率性について
経常収支比率及び料金回収率のいずれも必要とされる100%を超えていることから収支が黒字であり、給水収益で給水に係る費用が賄えていることがわかる。流動比率は100%を常に上回っており、累積欠損金も無いことから支払能力に問題はない。企業債残高対給水収益比率については、類似団体の平均を下回っているものの、燃料費、材料費の高騰により、浄水費、資産維持費、資産の取得コストが増加する見込みのため、資産の更新時の財源に企業債を充当する予定であり、当該比率については注視する必要がある。給水原価が類似団体のそれに比べ高いのは、資本費の高さが原因となっている。資本費の高さは、将来の近隣事業体の統合や、右肩上がりの人口増加を想定した施設設計だったこと、さらにはエリア内の人口密度が低いことなどを要因としている。また、施設利用率においても給水人口密度が低いこともあり、効率性は良いとはいえない。将来の近隣事業体の統合や施設設計時に想定していた人口増加が実現せず、施設利用率は、長年低い水準に留まっている。今後の人口減少問題により更なる低下も危惧されているところである。有収率が全国平均値を下回っているが、令和2年度末に、送水管から配水管へ想定できなかった流入を発見し、止水したため有収率は改善した。
老朽化の状況について
管路経年化率をみると法定耐用年数を超えた管路はなく早急に更新が必要な状況にあるわけではないが、有形固定資産減価償却率は70%を超えており全国平均より高い比率であることから他事業体より浄水関連施設等の老朽化が進んでいることがいえる。令和2年度より引き続き送水管更新事業を行っている。
全体総括
当企業団の用水供給事業は、黒字で、累積欠損金も無く、今のところ健全な経営状況にある。しかし、効率性は施設利用率が低い等の理由から良いとはいえず、近年、燃料費、材料等の物価は上昇し、さらには将来の人口減少による収益減が予想されている。長期の更新計画に基づき、浄水関連施設及び管路のダウンサイジング、スペックダウン等を考慮した更新を行う等の企業努力をさらに行うが、現在の料金では、経常収支は赤字となり、更に数年後には累積欠損金を生じる見込みとなる。今後、健全な経営を継続するためには、重点交付金等の財政支援を活用しつつ、適正な水道料金を設定する必要がある。令和4年度より、広域連携に伴う事務関係システムの運用を実施するが、その他の広域連携等に向けて検討を継続する。