経営の健全性・効率性について
①経常収支比率100%を超え、前年度並びに平均値を上回った。一見、経営状態が改善したかのように見受けられるが、その主な原因は災害債元金償還に係る一般会計繰入金を長期前受金戻入へ計上することとしたためであり、経営環境や収益構造が改善したことによるものではない。②累積欠損金生じていない。③流動比率前年度比では増となった。これは建設改良及び事故繰越に伴い、現金が増加したためである。また、災害復旧に時間を要したため、通常分の建設改良工事に着手できなかったこともその一因である。なお、平均値を大幅に上回っている。④企業債残高対給水収益比率平均値を下回っているものの、災害復旧事業債として同意いただいた起債額及び水道事業債の起債により増加している。今後の建設改良事業は、極力内部留保資金を財源としたい。⑤料金回収率100%を超えている。前年度から改善した理由は一部地域の少雨による給水量の増加及び⑥によるものである。⑥給水原価災害に伴う変更認可の完了や、任期付職員の任期満了により費用が減少したため改善した。⑦施設利用率対前年度比で給水量が約134,887㎥増となったためわずかではあるが改善した。⑧有収率用水供給事業のため、100%である。
老朽化の状況について
①有形固定資産減価償却率ほぼ類似団体と同程度で推移していたが、災害復旧事業で造成した施設を償却対象資産として計上したこと及び被災施設の有姿除却を行ったことにより大幅に低下した。今後は、老朽化が甚だしい各浄水場の電気計装設備及び機械薬注設備の更新を検討している。②管路経年化率・管路更新率企業団が所有する管路は農水省との共同施設と単独施設があり、法定耐用年数を超過した管路は共同施設で180m生じた。共同施設の管路はその持分が農水省87.1%、企業団12.9%であるため、企業団が主体的に更新することは現実的ではない。また、費用並びに人的資源が限られていることから、当面、老朽化が顕著で、水道用水の供給に際し速やかな更新が必要な電気計装・機械薬注設備や単独所有の管路の更新を優先せざるを得ないと考えている。
全体総括
現時点において、災害により浮き彫りにされた組織上の問題・課題の解決に至っていない。安定的な給水の維持は行い得ているが、長期的な視点に基づくコストの見直し、人的資源の集約及び確保など問題は山積している。令和5年度からの定年延長により、人的資源の外部流出は延伸されるが、組織の刷新や新たなる知見の確保にはつながるものではない。当企業団を取り巻く経営環境としては、人口減少に加え、地理的要因により、給水原価及び施設利用率の面で類似団体平均を下回る状況にある。今後は施設全体のダウンサイジングの検討や、職員の減少を見据えた点検体制等の見直しを行い、より効率的で持続可能な経営を目指す。