経営の健全性・効率性について
【①経常収支比率,②累積欠損金比率】経常収支比率は126.55%で健全経営の水準となる100%を上回っており,累積欠損金もないことから,経営は堅調に推移している。【③流動比率】流動比率は439.07%で短期債務に対する支払い可能な現金等の保有状況を示す100%を上回り,支払能力を確保している。【④企業債残高対給水収益比率】企業債残高対給水収益比率は169%で企業債の発行抑制に努めたことにより,類似団体平均値(以下「平均値」という。)より低い水準を維持している。【⑤料金回収率】料金回収率は125.15%で給水費用を給水収益で賄うことのできる100%を上回っている。【⑥給水原価】給水原価は94.84円で平均値に比べ高い水準にある。この要因は,管路延長が長く,管路等の更新費用及び維持管理費用が高いためである。【⑦施設利用率】施設利用率は49.91%で平均値を下回っている。この要因は,計画給水人口に対する現在給水人口が低く,水需要が建設当初の計画水量まで伸びていないためである。【⑧有収率】有収率は100%を維持している。
老朽化の状況について
【①有形固定資産減価償却率】有形固定資産減価償却率は62.92%で平均値を上回っており上昇傾向にあることから,資産の老朽化が進行している。【②管路経年化率,③管路更新率】管路経年化率は56.28%で平均値を上回っており,優先度の高い管路から順次耐震管に取り替えて管路を更新しているものの,昭和40~50年代に敷設した管路が多く,老朽化が進行している。なお,令和2年度は法定耐用年数を迎えた管路が多く,管路経年化率が大きく上昇している。管路更新率は各年度で変動がある。この要因は管路更新工事の施工が複数年に及ぶためであり,令和元年度に0%となっているのは当該年度に完成した工事がなかったためである。
全体総括
経営の健全性・効率性について,経常収支比率は100%を上回っており,平均値と比較して良好な経営状況となっているが,将来の収支見通しは,人口減少等に伴う給水収益の減少,管路更新に伴う費用の増加などにより,経営状況は悪化する見込みである。このため,同様の課題を抱える市町水道事業との広域連携による施設規模の最適化や業務の効率化によるコスト縮減など,効率的な運営を進めるとともに,着実な更新投資の実施が必要である。課題の解消に向け,令和4年11月に県内の14市町と設立した「広島県水道広域連合企業団」において,コスト縮減など,効率的な運営を進めるとともに,着実な更新投資を実施していくこととしている。