経営の健全性・効率性について
経常収支比率、流動比率は、いずれも概ね前年度数値を維持できたものの、今後の水需要の減による給水収益の減少が見込まれることから、更なる経費の節減や交付金など企業債以外の財源確保に努める必要がある。企業債残高対給水収益比率は、借入抑制等で年々改善しているが、類似団体平均と比べると差が大きいため、引続き残高抑制に努めていく。料金回収率は、経常経費の削減による給水原価の低下から若干改善したものの、類似団体と比較しても依然高水準にあり、引き続き、ダウンサイジング等により資本費を抑制しながら、併せて、経営の健全性が確保できるような料金水準・体系についても検証をする必要がる。施設利用率は、類似団体平均よりも20%程度低い状態となっている。季節変動による負荷率を考慮しても、なお既存施設に余力が生じていることを示している。今後は、配水エリア毎の水需要を的確に把握したうえで、既存施設のダウンサイジング等により、数値の改善を図る。有収率については、漏水調査や老朽管の更新等により、年々改善傾向にあるものの、類似団体と比較した場合、依然低い状況にあり、引き続き、漏水・不感水量等の原因を特定し、その対策を講じる必要がある。
老朽化の状況について
有形固定資産減価償却率及び管路経年化率については、類似団体の平均値より上回っているものの、今後、経年管の割合が増加する見込みであることから更なる更新需要に備え財源確保と計画的更新が必要となる。
全体総括
上記のとおり、地理的特性から、類似団体平均と比較しても資本費が極めて高く、高料金対策補助金など水道料金以外の収入で経営を維持した状況が続いている。水需要の低迷によりさらに事業収益の減少が予想されるなか、ダウンサイジング等投資の合理化による更新・耐震化需要への対応や水需要構造の動向を反映した料金水準・体系の検証などを含めた経営健全化など経営基盤の強化を図っていく。