経営の健全性について
事業の状況については、④累積欠損金比率は0%であるが、過去に発行した企業債の償還のための資金を確保できていないことから、③流動比率は目標値及び公営企業平均値をいずれも下回っており、短期的な債務の支払能力が低いと考える。また、人口減少や少子高齢化等の影響に加え、令和元年度は、2月及び3月の新型コロナウイルス感染症の影響で乗車人員が減少し、①経常収支比率と②営業収支比率は前年度より悪化し、100%を下回っている状態である。次に独立採算の状況については、⑥利用者1回当たり運行経費は経常費用は前年度とほぼ同額であるが、乗客数が新型コロナウイルス感染症の影響等で減少したことにより、増加している。一方⑤利用者1回当たり他会計負担額、および⑦他会計負担比率はいずれも令和元年度に増加しているものの、他公営企業平均値と比較する7~8割程度の水準にあることから、比較的独立採算制は高いと考える。最後に資産および負債の状況については、平成25年度よりバス車両の使用年限を12年から18年に延長した影響で、近年は⑧企業債残高対料金収入比率は減少、⑨有形固定資産減価償却率は増加傾向であったが、令和元年度に11両のバス車両の更新、および営業所の建て替えを行ったことにより、令和元年度は⑧は増加、⑨は減少となっている。今後、市バス料金収受システムの更新やさらなる市バス車両の更新によって企業債償還が大きくなり、引き続き非常に厳しい状況になることが見込まれ、次期経営計画に基づいて、あらゆる経営改善を行っていく必要がある。
経営の効率性について
①走行キロあたり収入は、新型コロナウイルス感染症の影響等により前年に引き続き減少し、民間平均を下回っている。③走行キロ当たり人件費は、営業所の管理委託を進めていることにより民間事業者平均よりも低くなっているが、②走行キロあたり運送原価は、民間事業者平均より高い水準にあり、年々差は小さくなっているものの、人件費及び管理委託費を含む運行経費が民間事業者よりも高くなっている。④乗車効率は、乗車人員がH30年度と比較し年間約93万人減少した一方で、走行キロや乗車定員は減少していないことから効率が悪化し、0.4%減少となっている。
全体総括
全体としては、各事業者平均値と比較すると、良好な指標もあるが、流動比率が低いことに加えて、令和元年度も引き続き経常収支が赤字となっており、今後も設備更新による減価償却費・企業債残高の増加が見込まれることなどから、厳しい経営状況となっている。自動車事業における経営改善策の1つとして、8営業所中5営業所の管理委託を行っており、委託率は車両数で7割と公営事業者の中でも高いが、キロ当たり運送原価は依然として民間事業者平均よりも高くなっており、乗車効率も引き続き悪化している。平成30年度から抜本的な収支構造の改善を図るため、給与体系の見直しを行っており、さらに、令和3年度からの次期経営計画に基づいて、さらなる人件費の抑制や路線再編による運行の効率化に努めるなど経営改善に取り組んでいく。