経営の健全性・効率性について
本市の下水道事業の経営は、単年度の収支では、健全性・効率性については適正に維持できています。しかし、一般会計の財政状況の悪化により、建設費等で生じた赤字の補填がなくなり、累積赤字が拡大していきましたが、現在は、経営健全化計画に基づき、累積赤字の解消に努めているところです。①収益的収支比率は100%に達していませんが、これは算出式の総収益の中に地方債償還金に充当すべき地方債(資本費平準化債)の収入が含まれていないことによるもので、単年度の収支は黒字を維持しています。④企業債残高対事業規模比率が平均値よりも低いのは、平成6年の関西国際空港の開港に向け、多額の事業投資による地方債(国等からの借金)を発行してきたにもかかわらず、食品コンビナートやりんくうタウン内などに大口企業が多数存在するため、類似団体よりも下水道使用料の収入が多いことによるものです。⑤経費回収率は100%を超え、下水道使用料で回収すべき経費はすべて賄えており、単年度では類似団体よりも良好な経営状況となっています。⑥汚水処理原価は、平成26年度までは平均値よりも安くなっています。これは、企業債残高対事業規模比率と同じく、大口企業が多数存在するため全体の使用水量が多くなり、1㎥当たりの汚水処理費が安価となったものです。平成27年度に平均値より高くなったのは、主に消費税納付額、流域下水道維持管理費が増加したためです。⑦施設利用率は、本市の下水道排水が貝塚市二色浜の処理場で処理されているため、数値は表示されません。⑧水洗化率は、平均値よりも高く90%をキープしています。
老朽化の状況について
本市の下水道事業は、平成3年に供用開始しており、事業開始が遅かったことなどから、平成27年度末の下水道普及率は36.30%と大阪府内でも最低の水準となっています。また、同様の理由で老朽化した下水道管は現在のところほとんどありません。③管渠改善率は、下水道管の更新延長が微少なため、数値は表示されません。
全体総括
本市の下水道会計は、平成9年度から赤字に転落し、平成16年度で38億円まで赤字額が増大しましたが、経営健全化計画に基づき、3回の料金改定による収入の確保や段階的な人員の削減及び事業費の抑制により、累積赤字の縮小に取り組んだ結果、平成27年度末では約17億円まで赤字額が減少しています。引き続き、同計画に基づき、平成36年度までに累積赤字の解消を目指します。現在、より透明性の高い、民間企業に近い会計処理を行うことにより、計画的な資産管理や安定的な収入の確保に努め、自らの経営・資産等の状況を的確に把握し、より効率的で持続可能な事業運営をめざすため、公営企業会計導入の移行業務を行っているところです。また同時に、平成28年度中には、将来にわたって安定的に事業を継続していくための中長期的な経営の基本計画である「経営戦略」を策定する予定です。