経営の健全性・効率性について
①経常収支比率は、平成24年度~25年度において100%を下回り、類似団体平均値より低水準となっていた。これは、平成22年4月に大阪府(平成23年4月以降は大阪広域水道企業団)からの受水単価が値下げ(改定率△11.5%)となったこと、及び累積利益剰余金を市民へ還元するため、平成22年10月に料金改定(平均改定率△17.7%)を行い、給水収益が減少したことによる。また、新会計基準の導入により、長期前受金戻入を計上したことで平成26年度以降は100%を超えている。③流動比率は、平成27年度以降については類似団体平均値を上回り、100%を超えていることから短期的な支払能力に問題はない。平成26年度以降、当該値が減少している原因は、新会計基準の導入により一年内返済予定企業債を流動負債に計上することとなったためである。なお、当該比率の変動が大きい主な理由は、工期の関係から未払金が変動するためである。⑤料金回収率は、「①経常収支比率」で記載した料金引き下げの結果、平成25年度までは類似団体平均値を下回っている。ただし、「⑥給水原価」の記載のとおり、給水原価が低い水準にあることから当該比率は平成26年度以降、概ね類似団体平均値で推移している。⑥給水原価については、平成25年度以降、類似団体平均値を下回る水準となっている。これは、経常費用の減少によるものであり、効率的な運営の結果といえる。また、平成26年度には新会計基準の導入の影響で給水原価の算定方法が変更となった(長期前受金戻入を控除することとなった)ことにより、当該数値が著しく減少している。
老朽化の状況について
①有形固定資産減価償却率及び②管路経年化率は、上昇傾向にあるが、類似団体平均値より低水準であり、他市と比較すると施設の老朽化は進んでいないといえる。③管路更新率については、類似団体平均値より低水準であり、平成28年度に減少しているが、これは彩都地区関連の拡張事業に係る工事を実施し、管路延長が増加したためである。
全体総括
平成22年度の料金改定以降、平成25年度まで純損失を計上していたが、平成26年度以降は新会計基準の導入により、純利益を計上している。また、前述のとおり新規の拡張事業を実施しながらも企業債の新規発行は行っておらず、企業債残高の償還を進めながら流動比率も200%超の高い水準を維持しているため、経営の健全性・効率性に問題はない。投資面においては、施設の老朽化度合は類似団体平均値と比較して高い水準ではないものの、管路の更新時期を迎えることによる更新経費の増大などの経営課題に対応するため、平成30年度に水道事業ビジョンの改定及び水道施設更新計画を策定するとともに、引き続き経営戦略の策定に取り組む。