経営の健全性・効率性について
①経常収支比率は、前年比で△0.35ポイントの微減。給水収益は、前年とほぼ同値を維持するも、減価償却費(前年比+約790万円(施設更新量の増加による))、受水費(同+約680万円(自己水の一時的な取水制限による))等の費用が増加しました。今後も、給水収益の改善は見込み難く、収支のバランスを注視していく必要があります。年度末の支払のタイミングにより、流動負債である未払金が増加したため、③流動比率は、前年より悪化。指標上は、悪化をするも、未払金の増加に対応する現金預金は、未払金以上に増加しており、支払余力は向上していると言えます。④企業債残高対給水収益比率は、新規の借入れをしていないことから、毎期減少しており、類似団体平均と比して良好な値を継続しています。⑤料金回収率、⑥給水原価は、どちらも類似団体平均より良好な数値で推移。給水に係る費用を抑えた上で、適切な料金回収ができていることを示しています。⑦施設利用率は、昨年度とほぼ同値で推移。限られた施設を効率的に活用できていると言えます。配水量、有収水量が前年度とほぼ同値であることから、⑧有収率は、前年度と同値。水質管理のための定期放水により、類似団体平均より約1.0%低い値となっています。今後、ますます水道管の老朽化が進む中、計画に基づく管路更新を行い、有収率の向上に努める必要があります。
老朽化の状況について
管路総延長約760kmのうち高級鋳鉄管及び塩ビ管等老朽管は平成13年度末時点で約130㎞ありましたが、現在は約44㎞になっています。平成30年度において、③管路更新率は対前年比約2倍の0.96%となっています。近年は、毎年40年を経過するダクタイル鋳鉄管(A形)が更新延長を上回る傾向にあるため、②管路経年化率は③管路更新率が高かった平成27年度を除き上昇しています。しかし、ダクタイル鋳鉄管の更新基準年数は一般的に40年以上に設定されていることから、実際の老朽化率はこれほど上昇していないものと判断します。①有形固定資産減価償却率は平成14年度から管路更新事業量が増えたものの、②管路経年化率の増加に伴って、年々増加傾向にあります。
全体総括
「1.経営の健全性・効率性」の各指標は、⑧有収率を除くと、類似団体平均よりも良好で、概ね健全な経営ができています。ただし、人口減少や節水機器の普及による給水収益の減少は、今後も継続が見込まれ、より厳しくなる事業環境において、愛知県が連携を推進する近隣事業体との広域化(事業統合)も含め、徹底した経営の効率化が求められます。「2.老朽化の状況」は、③管路更新率が、前年度に比べ改善。前年度、繰越となり完了しなかった工事(工事延長2.23km)を今年度、完了したことが改善の主因です。③管路更新率の向上は、上記の⑧有収率の向上にも繋がるため、平成30年度に策定済である水道事業経営戦略でも経営目標に掲げており、今後も継続して取り組んでいくものです。