経営の健全性・効率性について
・経常収支比率は、令和2年度に収益認識に関する会計基準の変更により、令和2年度に限り料金収入や給水量が例年と比べ1ヶ月分多く計上されている。12ヶ月に換算すると102.86%であるが、今年度は減少する結果となった。これは、流域下水道の負担金の増大や原料費高騰にともなう動力費の上昇によるものであり、今後もこの状況が続くことが見込まる。・流動比率は、企業債残高が年々減少していること等から、高まっている。令和2年度は収益認識の変更に伴い、収益が1ヶ月分多く計上されているため、大幅に上昇しているが、本年度にかけてほぼ横ばいの状況となっていることから、全体的には緩やかに上昇している。・企業債残高対事業規模比率は、過去の整備に係る企業債残高が大きいため、単年度収益に対する企業債残高が大きくなっているが、類似団体との比較では企業債残高が低いことを示している。・経費回収率は、使用料が経費を上回っており、処理費用を回収できている。また、類似団体との比較では回収率は高い状況である。・汚水処理原価は、整備がほぼ完了し接続率も高く、経年で平均的である。費用縮減の効果もあり類似団体平均を下回ったものの、一般会計負担金の減少に伴い、処理原価の上昇が見込まれる。・施設利用率は、令和2年度に計画処理能力の見直しを行ったため、処理量は前年と変わらないがその後の利用率は上昇しているが、依然として低い状況が続いている。そのため、今後も、施設の統廃合等により、引き続き利用率の向上を図って行く。
老朽化の状況について
・集落が散在し、小規模な処理区設定となっており、施設(設備)が多数存在している。・有形固定資産減価償却率は、整備がほぼ完了し、区域拡張に係る大きな投資はないため、償却が進んでいくことによる逓増傾向にある。・管渠は、老朽化による更新の時期となっていないが、中越大震災や豪雪地の特性による損傷が一部で見られ、維持管理の中で必要な修繕や更新を実施する必要がある。また、不明水が多くなっており、引き続き箇所の特定とその対応が必要となっている。・管渠改善率は、中越大震災で被災した管渠の復旧のために管渠更新や更正、処理区の接続等へ投資したことにより、その後、改善が必要な管渠が無い状況が続いている。
全体総括
・整備はほぼ完了しており、事業は施設設備の維持管理が主な業務となっている。・事業に要する費用は、使用料収入や一般会計からの繰入金(企業債償還の交付税措置等)等で賄われており、概ね健全な経営状況といえる。水洗化率が100%に近く新たな接続が見込めないため、今後は人口減少や節水志向等の影響を直に受け、使用料収入の減少が見込まれる。また、観光地に所在する処理施設もあり、天候や経済情勢等で入込客数が増減し、使用料収益に影響してくる。・山間地という地域性から処理施設が多数存在していることから、今後、平成28年度に策定した「魚沼市下水道事業経営戦略」の進捗管理や計画見直しを行いながら、処理施設の統廃合等を進めていくとともに、経営の質と効率化を高め、市民サービスの安定的な継続が図られるよう運営するものとする。