経営の健全性・効率性について
(経営の健全性)経常収支比率は100%を上回っており、累積欠損金はなく毎年度黒字を確保しており、流動比率も平均値を上回っていることから経営状況は健全である。(債務残高)企業債残高対給水収益比率は平均値より低く、企業債以外の債務である割賦負担金を含めて計算しても91.49%と、なお平均値を下回っている。企業債及び割賦負担金の償還が進み負債が減少しているが、今後の更新事業に際しては、金利水準や収支バランスに留意しつつ、企業債を適切に活用していく。(料金水準)原水を房総導水路に依存していることから給水原価が222.89円と平均値より約3倍高いが、構成団体等の理解と協力を得て相応の給水料金を設定できていることから、料金回収率は111.69%で健全経営を確保している。(費用・施設等の効率性)利根川の水を南房総地域まで導水する房総導水路に原水を依存していることに加え、給水区域の地理的・社会的条件から、減価償却費及び房総導水路施設の維持管理負担金等の負担が大きく、給水原価は著しく高い状況にある。施設利用率については、大多喜ダムの建設中止により一日最大給水量を減量した経緯があることから73.56%と平均値を上回っているが、給水区域においては将来的に大幅な人口減少が見込まれることから、今後、末端給水事業体とともに当地域の水道事業全体の将来的なあり方を検討・調整していく必要がある。
老朽化の状況について
給水開始(平成8年度)からの経過年数は25年であり、法定耐用年数を超えた管路はない。有形固定資産減価償却率が年々上昇していることから、予防保全の取組を適切に推進しながら、電気・機械設備の更新事業を計画的に進めるとともに、将来的な管路等の更新事業の検討を行っていく必要がある。
全体総括
「南房総広域水道企業団中長期経営プラン2017-水道事業ビジョン・経営戦略-」(計画期間:平成29年度~令和8年度)において、健全で持続可能な水道事業であることを目標の一つとしている。経営の健全性は保たれているが、給水原価は平均値の約3倍と高く、事業創設以来の課題である。将来的に、給水人口の減少に伴い水需要が減少していく一方で、施設の老朽化に伴い、更新事業に多額の事業費が見込まれるなど、経営環境は厳しさを増していくことになる。こうした状況を受けて、現在、他の水道事業体との統合について検討が進められつつあることから、当企業団としては構成団体とともにこうした動きに適切に対処することにより、南房総地域における持続可能な水道事業の構築に貢献していく。