経営の健全性・効率性について
経常収支比率は、過去5年間において100%を上回っており、前年度と比較しても、年間供給水量の伸びにより営業収益が増加した一方で、営業費用が減少したため、指標が改善した。しかし、今後は給水収益の減少及び営業費用の増加が見込まれることから、料金回収率を注視しつつ更新投資及び企業債償還に充てる財源の確保を計画的に行っていく必要がある。累積欠損金は生じておらず、流動比率も類似団体の平均値より高いため、財政状態は健全であるといえる。当組合は創設事業を継続している団体であり、現時点では浄水場等を有しておらず、取水から浄水処理までを第三者委託により運営している。そのため、有収率は安定して高く、施設利用率も類似団体の平均値と比較して良好な値を示している。企業債残高対給水収益比率は、類似団体と比較して低いが、施設更新のピークに達していないことも企業債残高が低い一因であるため、更新投資の進捗とともに当該指標を継続して注視していく。前年度と比べて、料金回収率は改善し、給水原価は下落したものの、経常収支比率と同様に、これらの指標の推移を把握しつつ更新投資等に充てる財源を適正な規模に確保して参りたい。
老朽化の状況について
当組合の管路が法定耐用年数を超えるのは令和4年度以降であるため、管路経年化率は0%で推移している。また、現状は管路の維持管理に努めており、更新は実施していない。今後は、将来の大規模更新を見据え、耐震化率の向上及び更新事業費の平準化を目指し、更新投資の時期及び事業費について引き続き計画・検討していく。
全体総括
財政状態は良好であるが、今後も収支バランスに留意し、経営の健全性の確保に努める。当組合の効率性の良さは、浄水処理業務を第三者委託していることに起因している。しかし、組織体制及び業務の更なる見直し等に取り組むことで、人件費、工事費及び委託料等の経費縮減を図り、効率性を更に向上させる必要がある。近年は、給水人口の減少等による水需要の鈍化により、給水収益の伸びは見込めない状況である。一方、創設事業に加え、老朽化施設の大規模更新が控えており、企業債残高の増加が見込まれている。そこで、資本投下の効率性を高めつつ、更新投資の財源確保に努めるため、適正な料金水準について引き続き検討を行う。また、今後の社会情勢の変化に対応するため、令和3年3月に策定した当組合水道ビジョン・経営戦略を適時見直し、施策の効果の検証を継続する。