経営の健全性・効率性について
本町公共下水道事業は、令和元年度より地方公営企業法の適用を受け公営企業会計に移行した。①経常収支比率は、前年度と比較し微増である。コロナ禍での事業所の稼働が戻りつつあり、使用料収入が増加に転じた。しかし、管渠補修等維持費も増加したことで微増となった。③流動比率は、100%を超え良い状況を継続。使用料収入等による現金の増加と企業債償還額の減少が要因。事業所等からの使用料収入がコロナ禍から回復し、増加に転じたが、事業所の節水努力等により、このまま増加に向かうとは考えられない。但し、企業債は借入から30年を経過し完済となるものがあり、新規借入もないため、良い状況に向かうと思われる。④企業債残高対事業規模比率は、類似団体と比較し状況的には良いが、前述のとおり使用料収入の状況による。しかし、残高は減少傾向にあるため、今後の施設更新事業等の企業債借入状況にもよるが、今のところ良い方向に向かうと思われる。⑤経費回収率は、100%を超えている状況ではあるが、使用料収入の増加よりも管渠補修等汚水処理費の増加が上回り、前年度より数値が下がる結果となった。また、⑥汚水処理原価も、使用料に関連する有収水量及び汚水処理費の状況によるため、今後の修繕等維持費の状況を注視する必要がある。⑧水洗化率は類似団体より低水準であり、今後も、水洗化の向上に努めていかなければならない。
老朽化の状況について
排水管敷設は、平成元年より開始されており、30年以上経過し通常の耐用年数の半数を経過したところである。現在は、老朽化している施設が多数存在しているとは考えづらく、近い将来、大規模な補修は要しないと認識している。令和2年度にストックマネジメント計画を策定し、今後は計画を基に施設の調査、更新を行うこととなる。
全体総括
本事業は現在、地方債の多額な償還金と流域下水道の維持管理費を主としており、新規築造事業は行っていない。施設自体の老朽化は存在しないと考えられるが、経営状況の不安定な状況は続く。収益の中心は一般会計からの繰出金であり、その依存度は高く、より安定した経営のためにも、更に使用料収入等、自主財源の向上に努めなければならない。平成27年10月の使用料改定から5年以上が経過しており、近い将来、使用料の見直しを検討しなければならないことも考えられる。令和2年度の下水道事業経営戦略策定により経営状況、資産状況等の正確な把握に努め、健全な下水道事業経営を維持するよう努める。