経営の健全性・効率性について
収益性を見る経営指標は昨年度から好調で、平成元年以降料金回収率は100%を下回っていたが、昨年度から上回っている。その要因の一つは大口需要者の使用量増による有収水量の増が挙げられる。また、平成11年度まで元利均等で借り入れていた企業債を平成12年度から平成26年度まで借り入れていないことで支払利息が減少していることも要因の一つである。このほかには資産減耗費の増減など非現金支出の影響が強く出ていることなどがあり実質的な経営状況の好転とみることは難しい。企業債残高対給水収益比率は、企業債借入を再開した平成27年度から増加しており、経営戦略上も令和5年度までは対象となる工事のすべてを企業債で賄う計画としているため、今後も増加すると見込まれる。実質の経営を支えているのは、不安定な営業外収入の水道利用加入金と企業債借入となっており、将来に向けては安定経営のための方策が必要と考えている。
老朽化の状況について
平成29年度は面整備の受贈管が耐用年数を超過したことにより大幅に増加したが、平成30年度にも増加しており、市内の経年管は約59kmを超えている。このまま現行のペースでの更新では、令和20年度には経年管が50%を超えてしまう状況である。現在は2か所の浄水場設備更新時期に当たり老朽管更新事業を圧迫しているが、令和5年度に浄水場設備更新事業が終了する見込みのため、その後は老朽管更新事業を推進していく計画である。老朽管更新は永続的な事業のため、長期的に資産を維持できる計画としたいと考えている。
全体総括
平成30年度の単年度でみれば経営は好調のように見えるが、平成25年度まで確保していた内部留保資金約20億円は、その後の浄水場設備更新事業や耐震化事業などで10億円程度まで減少している。このため、平成27年度から建設改良工事の企業債対象工事はすべて企業債を借り入れているが、内部留保資金の増加には至っていない。このままでは元金償還金が増加し続けてしまうため、経営戦略では令和4年度、令和8年度にそれぞれ15%の料金改定を見込んでいる。これ以上将来に負担を先送りしないよう、毎年の決算状況分析や将来水需要を検討し、市民や水道審議会へ十分な説明を行っていきたいと考えている。