経営の健全性・効率性について
「収益的収支比率」は、下水道使用料や一般会計からの繰入金等で維持管理費や地方債償還金を、どの程度賄えているかを示す指標であります。当該指標は数値が100%以上の場合、単年度の収支が黒字であったことを表します。しかし、本町の平成30年度の決算数値は44.03%であり、平成29年度の決算数値よりは回復傾向にあるが、単年度の収支が赤字であることは間違いありません。また、「経費回収率」が56.6%であることからも、使用料で回収すべき経費を賄えていないことが分かります。「企業債残高対事業規模比率」は、料金収入に対する企業債残高の割合であります。現在、更新工事等の投資を継続しており、他の類似団体と比較しても企業債残高が料金収入をはるかに上回っていることを示しています、このことからも適切な投資が必要になっていると思われます。「施設利用率」は、他の類似団体と比較すると、47.98%と低い水準であり、処理能力が過大となっております。これは下水道事業の当初計画より、人口、流入水量ともに減少傾向にあることに起因していると思われます。このような現状を是正するため、使用料の見直しや、計画処理能力の適正化を検討してまいります。
老朽化の状況について
斜里町の公共下水道事業は、昭和54年度から建設工事に着手し、汚水・雨水処理対策を進めてまいりました。道内では比較的早くから事業に着手しております。供用開始後30年以上が経過しており、経年劣化により管渠、処理場設備ともに不具合が増加傾向にあることから、修繕計画を立て効率的な維持管理に努めています。また、処理場機械・電気設備については、社会資本整備総合交付金を活用しながら計画的な更新工事を行っております。今後も定期的な調査、点検を継続し、事故の未然防止や経費削減に努めてまいります。
全体総括
現在の使用料水準は、3,190円/月(一般家庭の20㎥当たりの使用料)であり、他の類似団体と比較し、一般的な料金であります。しかし、汚水処理原価がそれ以上に高いため、経費回収率からも分かるように、使用料のみでは賄いきれておらず、一般会計からの繰入金に依存している状況であることから、適正な使用料の見直しが必要となっています。また、経年劣化により不具合が増加傾向にある処理場設備についても計画的な更新を実施してまいります。