経営の健全性・効率性について
平成29年度の水道事業は、経常収支比率・料金回収率とも100%を上回っており、1年以内の債務に対する支払能力を表す流動比率が向上し、企業債の残高も償還が進み減少してきていることから、引き続き健全経営が維持されていると判断している。給水原価については、寒冷地対策のため建設費用が割高になることが影響し、従来から類似団体等に比べ高い状況にある。平成29年度は前年度から2.76円上昇しているが、その要因として減価償却費が増加したことが挙げられる。今後も給水収益の逓減が見込まれることから、費用の圧縮をはじめとした経営努力を重ねていく。
老朽化の状況について
平成29年度の有形固定資産減価償却率は、50.68%となっており、保有資産の約半分が法定耐用年数に近づいていると分析できる。これは、類似団体や全国平均と比べ若干高い数値であり、当市の施設老朽化が比較的進行している状況を表している。管路に関しては、昭和40年代に布設された大麻団地の管を既に更新していることにより、経年化率が2.27%と低いものの、昭和50年代に布設された管も多く、数年後には耐用年数を迎えることとなる。また、管路更新率が0.72%では全ての管路を更新するのに100年以上かかることから、今後は年度毎の事業費の平準化を図りながら、計画的な更新を実施していく。
全体総括
水道事業は現時点では健全な経営状態にある。平成29年度は給水戸数が5万戸を超えるなど、以前の減少傾向からやや持ち直した感はあるものの、人口減少や節水機器の普及により有収水量が減っていくため、給水収益は減収していくと考える。一方で数年後から始まる管路の大量更新時期とその先に控える大規模施設の更新を見据えると、全く楽観視できる状況にはない。今後は、平成30年度に策定予定の上下水道ビジョンにおける長期的な収支見通しに基づき、引き続き効率化等により費用の圧縮を図るとともに、料金収入と企業債の借入との適切なバランス等も考慮しながら、健全経営の維持を図っていく。