経営の健全性・効率性について
①各年度、黒字を示す100%以上で推移している。平成30年度と比較し、収益及び費用ともに増加し、特に収益面の伸びが高く経常収支比率としては1.09ポイント増加。主に、収益面では給水収益等(家庭用水量の増加等)の現金収入の増加、費用面では維持管理費用(漏水調査委託料や施設修繕費等)の増加となっている。③平成30年度に比べ15.51ポイント低下したものの基準値とされる100%かつ全国平均・類似団体平均を上回り、現金預金も増加しているため短期的な債務に対する支払い能力は健全な状態にある。④各年度、建設改良事業等は実施しているものの平成22年度以降、企業債発行はなく、減少で推移している。現時点の経営状態の安全性は高い状態である。しかし、今後は施設整備事業(老朽化及び耐震化)を計画的に実施していくため企業債を財源確保の手段として考える必要がある。企業債発行は、世代間負担の公平性や財源補完機能の観点など財政の健全性を踏まえて計画的に行う。⑤各年度100%以上で推移し、適切な料金回収が出来ている状態である。また、令和元年度は、平成30年度に比べ漏水量が減少(有収水量増加)したため、1.01ポイント上昇している。⑥平成27年度以降ほぼ横ばいで推移しているものの全国平均・類似団体平均に比べ高い状態である。給水原価の約6割は受水費用(水購入費用)となっており、本指標を減少傾向にする取り組みは、維持管理費削減、業務の効率化や民間活用等による経費の削減等となっている。⑦全国平均かつ類似団体平均に比べ高く、横ばいで推移し、施設の利用状況や規模は適正な状態である。⑧有収率は合併後(平成17年度以後)最高の数値となっている。今後も効果的に漏水を発見し早期修繕を図り有収率維持及び向上に努める。
老朽化の状況について
①平成29年度以降50%以上で推移し、有形固定資産全体の法定耐用年数の償却が半分以上進んでいることを表している。また、全国平均・類似団体平均より高い状態である。本市の有形固定資産全体の9割を占めるのは、構築物(配水池や配水管路)であり、構築物に限って本指標をみても令和元年度初めて50%以上(50.02%)となったことから今後も増加すると考えられる。②各年度、増加で推移しているが、類似団体平均より低い状態であり、現在のところ法定耐用年数(40年)を超過した管路割合が低い状況である。しかし、本市の管路全体の約45%が30年以上の管路で占めるため今後も増加すると考えられる。③平成28年度以降、類似団体平均より高い状態で推移しているが、②に記述したように管路全体の約45%が30年以上の管路で占めるため今後この更新率で対応可能(更新投資の見通しや経営に与える影響)か検討し計画的な施設更新が求められる。
全体総括
経営の健全性・効率性の面において、平成30年度に比べて流動比率以外の指標は、向上し(良好な方向へ)、水道事業の経常利益を維持する等、健全経営ができているが、経営成績では、営業損失(営業収益(主に水道使用料)で営業費用を賄うことができない状態)となっているため、事業経営の効率化に努め経費の節減等を図る必要がある。また、老朽化の状況の面においては、有形固定資産減価償却率が平成29年度以降50%以上で推移していることや管路経年化率が増加で推移していることから、更新の優先度・重要度を踏まえて更新投資を平準化した投資計画の策定が必要となっている。今後も健全経営を持続させるため平成30年度に策定した経営戦略の進捗管理を行い、必要に応じて見直し(ローリング)を行う。