経営の健全性・効率性について
総収益の増、総費用の減、地方債償還金の減に伴い上昇していた収益的収支比率は、近年5年では、総収益の減により、横ばいまたは微減となっている。企業債残高対事業規模比率は類似団体平均値や全国平均値に比べ良好な値で推移しているが、流域下水道事業であることから、処理場に係る起債残高が含まれていないため、本指標が良好な数値となっていると推測される。経費回収率は、100パーセントに満たないものの、類似団体平均値を上回り、ほぼ横ばいで推移している。有収水量の減に伴い、汚水処理原価は上昇傾向となっている。水洗化率は類似団体平均を大きく上回り、95パーセント近い、良好な数値となっている。
老朽化の状況について
事業開始が比較的遅かったため、ほとんどの管渠で耐用年数には達していないこともあり、現状では管渠の改築等の必要性は低いと考えられるが、今後計画的に管渠の更新を行う必要がある。
全体総括
事業開始が比較的遅かったものの、早いペースで集中的に整備を進めてきた結果、高い普及率を誇るに至り、公共水域の水質保全に寄与してきた本市の下水道事業であるが、一方で、投資効率が高くない地理的条件と相まって、多額の建設費及び維持管理費が経営を圧迫する要因となっている。改善に向けた取組みとして、人件費等の削減に加え、流域下水道施設の維持管理等の経費に対する負担のあり方の検討や、必要最低限の事業とすることで、将来への負担となる元利償還金償還額を抑制するなど経費節減に努めていく。また、類似団体平均値を大きく上回っている水洗化率についても、利子補給制度の活用や臨戸訪問により100パーセントを目指し、適正な使用料収入による経費回収率の向上など、経営努力を重ね、将来にわたり事業継続が可能となるよう経営基盤の強化を図っていく。