経営の健全性・効率性について
宅地造成による給水戸数の増、地方債償還額の減少等の効果はあるものの、人口減少に伴って料金収入は減少傾向にあり、維持管理費が増加したことにより、収益的収支比率は微減となった。しかし、類似団体と比較してH27で6.08ポイント上回っており、経営状況は比較的健全であると見ることができる。支払利息・地方債償還金が今後も減少推移であることから、収益的収支比率はこれまでと同様に上向きで推移すると見込まれる。企業債残高対給水収支比率は、既発債償還による地方債残高の純減に伴って減少傾向にある。類似団体と比較してH27で591.75ポイント下回っており、給水収益と地方債残高のバランス面においては比較的健全であると見ることができる。今後の施設更新計画も平準化での実施予定であり、地方債残高の減少に伴って今後も同水準で減少していく見込みである。料金回収率は、総費用・地方債償還額の減少に伴って上向いている。類似団体と比較してH27で21.58ポイント上回っており、料金水準の面においては比較的健全であると見ることができる。今後も支払利息・地方債償還額が減少若しくは微減となることから、多少の増減はあるものの引き続き上向き傾向を維持する見込みである。給水原価は、総費用・地方債償還額の減少に伴って減少傾向にある。類似団体と比較してH27で153.16ポイントも下回っており、費用の効率性は比較的高いと言える。今後も支払利息・地方債償還額が減少傾向となることから減少推移となる見込みである。施設利用率は、宅地造成による給水戸数の増加で一時的に微増となっているものの、人口減少や漏水対策効果によって配水量が減少していることから減少傾向にある。類似団体と比較してH27で2.94ポイント下回っており、施設利用率は比較的低い。今後は人口減少による使用水量(配水量)の減少に伴って施設利用率はさらに減少となる見込みである。有収率は、漏水対策の効果により上向き傾向となっている。類似団体と比較してH27で7.54ポイント上回っており、供給配水量の効率性は比較的高い。
老朽化の状況について
管路更新率は、類似団体と比較するとH27で0.34ポイントも下回っており、管路更新投資の実施状況は比較的低いと見ることができる。本町においては、過去、下水道事業の実施の際に水道管の更新事業を併せて行っており、事業終了後約20年を経過しているものの大半の水道管が耐用年数を迎えておらず、近年大規模な管路更新事業を行っていないのが要因と考えられる。今後、同時期に耐用年数を迎えることから計画的に管路の更新を行っていく必要がある。
全体総括
人口減少に伴って料金収入は減少傾向にあるが、それを上回る総費用及び地方債償還額の減少によって、収益的収支比率、企業債残高対給水収支比率、料金回収率、給水原価において良好な水準を維持している。支払利息・地方債償還金が今後も減少推移であることから、これまでと同様に良好状態を保つ見込みであり、当面は現状の経営状況の維持を図りたい。施設の効率性においては、施設利用率が減少傾向で、類似団体と比較しても低い状態となっている。今後、人口減少によってさらに施設利用率が減少推移することも考えられ、統廃合等施設の在り方、施設更新時の事業内容(規模縮小)等を検討する必要がある。管路更新については、今後、施設の老朽化状況などを考慮しながら実施していくこととなるが、大半の管路が一斉に耐用年数を迎えるため、事業の平準化を図りながら計画的に実施していく必要がある。