経営の健全性・効率性について
特定環境保全公共下水道は、市街化調整区域の一部において公共下水道の整備を行ったものであり、処理区域内人口が約15,000人であり、使用料収入が少なくなっている。そのため、①や④については、費用や企業債残高に対する収益が少ない。②について、令和元年度より累積欠損金が発生しているが、これは阪神淡路大震災後、平成8~10年の3年にわたり緊急避難的にカットされた一般会計補助金153億円を、特別利益として平成30年度までに順次返還を受けていたが、令和元年度から返還分がなくなったことに伴い令和元年度以降の決算が赤字となったことで発生したものである。特定環境保全公共下水道については、公共下水道と一体的に経営しており、公共下水道と特定環境保全公共下水道の全体収支は黒字である。
老朽化の状況について
①については、類似団体より数値が高く、施設の老朽化が進んでいるため、今後の改築更新に備える必要がある。法定耐用年数を経過した管渠はまだ存在しないため、②や③の指標は0となっている。
全体総括
公共下水道を含めた下水道事業全体として、今後、下水道使用料収入が減少傾向にある一方で、老朽化した施設の改築更新費用が増加する見込みであるため、令和2年4月に使用料改定を行った。しかし、新型コロナウイルス感染症に伴う使用料収入の減少が発生し、使用料改定時の見込と比べて経営指標の改善が限定的であったため、今後の使用料の回復の状況を注視していく必要がある。引き続き維持管理の効率化等を進めると同時に、さらなる改築更新の平準化を図ることで、健全かつ効率的な経営を実施していく。