経営の健全性・効率性について
収益的収支比率は、起債繰上償還を行った平成24年度での比率低下が目立つが、以降の年度では水洗化率向上に伴う使用料収入の増加等により、比率は徐々に上昇傾向にある。ただし、依然として一般会計からの繰入金への依存度が高いため、今後はさらに、使用料改定・コスト削減等の具体的な経営改善を図る必要がある。企業債残高対事業規模比率については、類似団体と比較すると大きく下回っており、施設整備の進捗と使用料収益の増加によるものである。経費回収率は、水洗化率向上により上昇傾向であり、類似団体と比較しても高くなっているが、分流式下水道に要する経費の算入によるところが大きい。今後は、更なる費用削減や更新投資財源の確保のためにも適正な使用料収入の確保等、改善努力が必要である。汚水処理原価については、類似団体と比較すると低いが、経費回収率同様分流式下水道に要する経費の算入によるところが大きい。引き続き、維持管理経費の削減や接続率向上による有収水量増加への取組みが必要である。施設利用率は、単独公共である加茂浄化センターを対象とするものであるが、処理区域においては近年高齢化や人口減に伴う有収水量の減少傾向が著しく、今後も利用率の低下傾向が続くと考えられる。水洗化率は、下水道施設整備への取組みと宅地開発地域の人口増加等により、年々上昇傾向にある。使用料収入の確保等の観点からも、100%水洗化に向け、下水道整備済み地域における下水道接続を促進していく必要がある。
老朽化の状況について
現在においては、耐用年数を経過した施設はないが、30年超えの施設は存続しているため、長寿命化に向けた取り組みとして、保有資産の老朽化・改善の必要性等を分析し、将来の事業継続に向けた対策を講じることが重要である。
全体総括
木津川市下水道事業については、施設整備状況や水洗化率等の現状を踏まえると、今後は、施設の維持管理や老朽化・長寿命化等への取組、健全な事業経営が課題となる。下水道事業の財政状況は、類似団体との比較においては直ちに悪いという状況ではないが、合併市としての今後を考えた上でも、決して楽観できる状況ではない。今後の課題対策に向け、安定した収入確保のために適正な使用料設定や有収水量増加に向けた取り組みと同時に、一層の経費削減に努める方針である。また、経理内容の明確化や経営の継続性・安定性の観点から、平成29年度には「地方公営企業法の適用」を予定しており、現在、導入に向けた準備作業に取り組んでいる。