経営の健全性・効率性について
①経常収支比率は、100%以上ではあるものの類似団体と比較すると低い水準であり、継続して費用削減等の経営努力を行い、健全経営の維持・向上を促進する。③流動比率は、類似団体と比較すると下回っているものの、突発的な支払により資金ショートとならないよう常に3ヶ月分の運転資金を確保するように努めており、計画的な資金繰り表を基に引き続き安定的な経営に取り組む。④企業債残高対事業規模比率は、平成29年4月より下水道使用料を平均9.1%引き上げたことにより使用料収入が増加していること、また、企業債残高が減少していることにより比率は毎年改善している。⑤経費回収率は、101.64%となり、使用料で回収すべき経費をバランスよく賄えている状況にある。引き続き、安定的な使用料の確保と維持管理費の増大を抑制する取り組みを継続する。⑥汚水処理原価は、類似団体と比較すると高い水準ではあるものの、150円/㎥を下回っており、適切な水準であると考えられる。引き続き、維持管理費の増大を抑制する取り組みを継続する。⑧水洗化率は微増傾向が続いており、公共用水域の水質の維持改善や使用料の確保の観点から、水洗化率向上への取り組みを継続する。
老朽化の状況について
①有形固定資産減価償却率は類似団体より低い水準ではあるものの、徐々に増加している。下水道施設の更新はスクラップ&ビルド方式ではなく、長寿命化による耐用年数の延長方式であるため、今後も比率の増加は見込まれるものの、ストックマネジメント計画に基づく事業等の実施により、施設寿命を延長させる取り組みを推進する。②③管渠老朽化率および管渠改善率は、管渠の耐用年数を超過したものはないため、0%となっている。今後、耐用年数超えの管渠の増加が見込まれるため、ストックマネジメント計画に基づく事業等の実施により適切な管渠の改築更新を実施する予定である。
全体総括
本市では平成29年度に下水道使用料を引き上げたことや企業債残高の減少により、各種の経営指標は改善傾向であるものの、中長期的には有収水量が伸び悩むと予測される。このため令和3年度に策定した令和4年度~令和13年度を期間とする第9期経営計画(経営戦略)において、この計画期間は今後本格的に訪れる下水道使用料収入減収時代を見据えた対策を講じる期間と位置づけている。計画方針に基づき必要不可欠な事業を先送りせず、健全経営の維持・向上を促進する中においても、使用者目線に立った適切な事業管理を実施し、効率的な経営・運営を図り、安定かつ堅実な下水道事業の運営に努める。