経営の健全性・効率性について
企業債残高の減少による支払利息の減等により、汚水処理費は減少しましたが、「令和2年度に発生した新型コロナウィルス感染症の拡大に伴う水需要」が令和3年度減少し、有収水量が減少したこと等により、⑥汚水処理原価は微増、⑤経費回収率は減少しています。また、長期前受金戻入等の増により総収益は増加したものの、減価償却費等の増加により総費用も増加したため、①経常収支比率は微減となりました。現在水洗便所設置済人口・現在処理区域内人口ともに減少していますが、水洗化は進んでいるため、⑧水洗化率は微増となりました。下水道事業の経営に当たり、一般会計から国の繰出基準額以上の繰入を受けてはいますが、この先、一般会計からの繰入額の増加は見込めず、また人口減少社会の到来により、下水道使用料の自然増は期待できないため、今後も経営状況を注視し、必要に応じて、収益の多くを占める下水道使用料の改定や、効率化による経費節減等の検討を進めていきます。
老朽化の状況について
③管渠改善率は、一部区間で耐震補強工事を実施したことにより、微増となりました。また、①有形固定資産減価償却率は資産全体で約54%、資産の種類によってはより高い償却率となっており、老朽化が顕著となっています。管渠施設については、現時点で耐用年数を超過する施設はないものの、昭和50年代後半から平成10年頃にかけて、施設整備を急速に進めたため、今後、施設老朽化が加速度的に進み、施設更新費用や施設修繕費が増加する見込みとなっています。このため、平成30年度末に策定したストックマネジメント計画を基に、施設の効率的な修繕を進めるとともに、国庫補助金や企業債を有効活用した資金計画との整合を図りながら、施設整備に取り組んでいきます。
全体総括
昭和45年度から下水道事業を進めているため更新時期を迎えている下水道施設が多く、維持管理費用やその資金調達、更新手法等が現在直面する大きな課題となっています。しかし、市の財政状況も切迫しており、一般会計からの長期的かつ安定した十分な繰入金は期待できず、厳しい事業経営を迫られています。そのため、今後も令和元年度末に策定した下水道事業経営戦略を基に、経営状況を注視し、定期的な経営戦略の見直しを行っていきます(令和6年度までに見直し予定)。同時に、必要に応じて使用料の見直しの検討や、更なる経費削減策として令和4年度からは汚泥の共同処理を開始しており、事業の健全化、効率化に取り組んでいきます。