経営の健全性・効率性について
⑤料金回収率は令和元年度までは100%超を維持していましたが、令和2年度は下回っています。これは新型コロナウイルス感染症対策として実施した、水道料金の基本料金全額を6か月間減額した影響によるものです。相当額を一般会計からの繰入金で補填しているため、実質的には経営に影響はありません。この影響がなければ料金回収率は110.31%となります。また、①経常収支比率も100%を上回っていることと②累積欠損金比率は0%を維持していることから経営は健全であると言えます。③流動比率は類似団体平均値は下回っているものの、100%超を維持しており、支払い能力に問題はありません。④企業債残高対給水収益比率は、新たな借入を行っていないため、減少を続けています。令和2年度に施設整備計画を策定したことから、今後は新規借入を視野に入れて検討を行います。⑥給水原価は、⑧有収率が高いことに加え、日頃の経費節減の努力により、類似団体と比較して継続的に低い水準を維持しています。⑦施設利用率は、高水準のまま横ばいで推移しています。類似団体と比較して効率的な施設利用が出来ていると言えます。⑧有収率は、大口径の基幹管路の更新が進んでいることもあり、類似団体と比較して高い水準にあります。
老朽化の状況について
①有形固定資産減価償却率は、平成29年度に建設が完了した配水池を平成30年度末に償却対象資産として計上したため、平成30年度は低下しました。令和2年度に施設整備計画を策定する予定であったため、令和元~2年度は更新投資を控えており、その影響で上昇しています。②管路経年化率は、類似団体と比較して低い水準ではありますが、微増で推移しており、今後耐用年数に達して更新時期を迎える管路が増加すると見込んでいます。③管路更新率は、令和2年度に施設整備計画を策定する予定であったため、必要最小限の更新事業としたことにより低下しました。今後は、基幹的な管路の耐震化および透析医療機関や避難所などの重要給水施設への路線を耐震性の高い管路として積極的に整備していく方針としたため、管路更新率の増加を見込んでいます。
全体総括
1.の分析から、現在の経営の健全性と効率性は問題はなく、健全な経営状態であることが分かります。しかし、2.の分析からは、水道施設の更新を、より積極的に進める必要があることが分かります。新型コロナウイルス感染症による影響や給水人口の減少等の要因により、給水収益は減少傾向で推移すると想定されることに加え、令和2年度に施設整備計画を策定し、管路の更新を積極的に実施する予定であり、更新投資に係る費用の増加が見込まれるため、収益の確保は課題です。令和2年度策定の経営戦略に安心安全な水を安定的に供給するという、水道事業の基本理念を掲げています。施策目標を達成するために、方策の進捗状況は毎年確認と改善の検討を行い、5年程度の期間で、財政計画も含めて経営戦略は見直しを行います。