経営の健全性・効率性について
①経常収支比率は、給水収益の増加(前年比+約4,084万円)となったものの、配水場支障移転事業に係る費用を負担金として受領し、総収益及び総費用共に大幅な増額となったため、前年比で0.16ポイントの悪化となりました。今後も給水収益の改善を中心に取り組み、100%以上の数値を維持するように努める必要があります。③流動比率は、流動負債の増加率が流動資産を上回ったため下降しました。流動資産の内、94.5%が現預金であり、有事の際に備えた現預金が保有できています。④企業債残高対給水収益比率は、新規の借入れをしていないことから、毎期減少しており、類似団体平均と比して良好な値を継続しています。⑤料金回収率、⑥給水原価は、配水場支障移転事業により、総費用が増加したため、大幅に⑤下降、⑥上昇しています。総費用の増加は一時的なものであり、令和3年度は令和元年度並みとなる見込みです。⑦施設利用率は、令和2年12月1日に浄水場を1箇所休止し、配水能力が減少したことにより上昇しました。施設の統廃合によって、限られた施設を効率的に活用できていると言えます。⑧有収率は、年間総有収水量が増加したことにより上昇しました。年間総有収水量の増加は、上記⑦の浄水場が水質管理のために行っていた定期放水が、休止により減少したことによるものです。令和3年度以降も定期放水が減少することとなり、更なる改善が見込まれます。
老朽化の状況について
管路総延長約760kmのうち高級鋳鉄管及び塩ビ管等老朽管は平成13年度末時点で約130㎞ありましたが、現在は約37㎞になっています。令和2年度において、③管路更新率は、道路改良工事の遅れによる布設替工事の次年度繰越及び工事計画の見直しにより、前年比0.25ポイント減少しています。近年は、毎年40年を経過するダクタイル鋳鉄管(A形)が更新延長を上回る傾向にあるため、②管路経年化率は毎年上昇しています。しかし、ダクタイル鋳鉄管の更新基準年数は一般的に40年以上に設定されていることから、実際の老朽化率はこれほど上昇していないものと判断します。①有形固定資産減価償却率は②管路経年化率の増加に伴って、年々増加傾向にあります。
全体総括
「1.経営の健全性・効率性」の各指標は、⑧有収率を除くと、類似団体平均よりも良好で、概ね健全な経営ができています。ただし、給水収益については、令和2年度に一時的に増加したものの、人口減少や節水機器の普及により、今後も継続して減少していくことが見込まれ、より厳しくなる事業環境において、愛知県が連携を推進する近隣事業体との広域化(事業統合)も含め、徹底した経営の効率化が求められます。「2.老朽化の状況」は、③管路更新率が一時的に下降していますが、その他の項目については、前年度とほぼ同水準の数値であり類似団体平均と比較しても良好であると言えます。③管路更新率の向上は、上記の⑧有収率の向上にも繋がるため、水道事業経営戦略(平成30年度策定、令和5年度見直し予定)でも経営目標に掲げており、今後も重点的に取り組んでいくものです。