経営の健全性・効率性について
①経常収支比率は、122.62%で、前年度に比べ1.46%増、類似団体平均値も上回っており良好である。②累積欠損金比率は、今後も0%を維持できる見込みである。③流動比率は、387.13%で、前年度に比べ26.17%増、類似団体平均値も上回っており良好である。④企業債残高対給水収益比率は、前年度に比べ1.69%上回っているが、これは平成30年度から令和元年度にかけて、老朽化した施設の更新に伴う企業債の借入増の影響のためで、必要な更新投資を行った結果である。⑤料金回収率は、118.14%で、前年度に比べ1.31%増で、類似団体平均値も上回っており良好である。⑥給水原価は、地下水を利用しているため、類似団体平均値を大幅に下回っている。⑦施設利用率は、前年度に比べ1.2%増であるが、類似団体平均を下回っている。今後は、災害等の緊急時への備えとして一定の施設能力を保持しつつ、将来の水需要予測を見直し、施設・設備規模の適正化や運用の見直しを図っていく。⑧有収率は、老朽管率が高いことと、平成28年度に簡易水道1事業が統合した影響などにより、低下傾向にある。今後も引き続き漏水の早期発見と老朽管の更新に係る取り組みを行っていく。
老朽化の状況について
①有形固定資産原価償却率は、必要な更新投資を行っていることで、全国平均や類似団体平均値より下回っている。②管路経年化率は、全国平均や類似団体平均値と比較すると、依然として厳しい状況が続いている。③管路更新率は、管路経年化率を引き下げるため、全国平均や類似団体平均値を上回る、高いペースを維持し、事業経営を圧迫しない範囲の中、出来得る限り、最大限の管路更新を行っている。
全体総括
令和2年度決算において、当初、新型コロナ感染症の影響により、給水収益の大幅な落ち込みが危惧されたが、事業系水量が減少する一方で、巣籠需要による一般家庭の水量が増加したため、結果的に給水収益は前年度と比較して微増した。そのため、経営指標から財政状況をみると、概ね企業経営の安定性は保たれている。しかしながら、将来的には、人口減少や節水などによる有収水量の減少傾向が続くことが予想され、また今後においては、施設や管路などの老朽化による更新費用の増加が見込まれることから、施設の長寿命化や維持管理・修繕コストの最小化など、費用の縮減に努めていく。令和4年度から令和5年度にかけて、経営戦略と水道ビジョンの見直しを予定しており、アセットマネジメントも再構築する中、安定した水道事業の運営を適正に管理していく。