経営の健全性・効率性について
「単年度の収支」を示す収益的収支比率については、平成25年度決算において、年度途中の隔月検針への移行を行ったことや、平成26年度決算において、地方公営企業法を適用を行う関係上3月31日をもって打ち切り決算を行った影響から、収益(使用料収入)が一時的に減少し、収益的収支比率が50%台となったものである。しかしながら、平成24年度以前を見ても60%弱と、黒字であることを示す100%から大きく離れていることから、平成27年度において人員配置を見直し人件費の削減を行ったところであり、更には企業債償還額が平成33年度をピークに今後上昇していくことを踏まえ、財源不足に対応した使用料の改定を検討していく必要があると考えている。「債務残高」を示す企業債残高対事業規模比率においては、本市の下水道事業は、昭和62年の事業着手以降急ピッチで整備を進めてきたことから、企業債残高は類似団体を大きく上回る状況となっている。しかしながら、市内全域において、ほぼ面整備が完了し、新たな企業債の発行を極力抑えることができることから、企業債残高の減少は加速していくものと考えている。「料金水準の適切性」を示す経費回収率については、類似団体平均値に近い数値を示しているものの、回収すべき経費を全て使用料で賄えている状況でないことから、持続可能な経営を図る上でも、使用料の改定を行い、安定した経営を図る必要がある。「費用の効率性」を示す汚水処理原価については、類似団体平均値を下回っており、比較的効率のよい運営が図られているものの、更なる経費節減、使用料回収率の向上に努めたい。「使用料対象の捕捉」を示す水洗化率についても類似団体平均値と同程度を推移しているものの、水洗化率100%を目標とし、公共下水道への未接続世帯への接続勧奨に努めていきたい。
老朽化の状況について
本市の下水道事業は、昭和62年の事業着手移行順次整備を進めていることから、法定耐用年数を超えた管渠や現時点で更新を要する管渠は有していない。
全体総括
面整備が概ね達成され、今後、管理運営業務の割合が増し、事業の健全経営という視点が重要となってくる。そうした中において、平成26年度末の起債残高が142億円余りとなっていること、節水型社会の到来による有収水量の減少等を背景として、今後より厳しい財政運営が予想される。平成27年度からの地方公営企業法の適用を機会に、財務内容の明確化と透明化を図り、経営内容の開示や事務事業内容の説明等を行いながら市民の理解を得た上で、持続可能な料金体系を構築していく必要があると考えている。