経営の健全性・効率性について
平成29年度決算は、平成30年度から地方公営企業法が適用されることに伴い、打切り決算となったため、①収益的収支比率、④企業債残高対事業規模比率、⑤経費回収率及び⑥汚水処理原価は、それぞれ例年とは基準となる数値が異なることとなります。その中で、収益的収支比率は74.00%と、前年度に引き続き100%未満でした。これは、建設当初に借り入れた地方債の償還額が大きいことが原因であり、今後は当該地方債の償還が順次終了していくため改善が見込まれます。また、前年度よりも、企業債残高対事業規模比率にあっては高い水準、経費回収率にあっては低い水準、汚水処理原価にあっては高い水準となっていますが、これらは打切り決算の影響と考えられ、また、経費回収率及び汚水処理原価にあっては、前年度よりも施設の維持管理のための工事等の経費が多かったことにもよると考えられます。経費の負担については、地理的制約のため、処理場を2か所設置していること等からやむを得ない面もありますが、一方で、より一層の削減を図っていく必要もあります。施設利用率は50%前後を推移していますが、これは当町が観光を基幹産業としているため、一時的な観光客の増加にも対応できるだけの余裕を施設に確保していることによります。同様に、水洗化率は、対住民人口で算出されているため、当町に多く設置されているホテル、保養所、別荘などの数が反映されておらず、類似団体の平均よりもやや低い水準となっています。
老朽化の状況について
管渠改善率は、類似団体の平均的な水準ですが、当町の下水道管路施設は既に98㎞を超えているため、下水道の普及促進とともに、これまで整備してきた管路施設の老朽化対策を今後さらに推進していく必要があります。また、今後の投資に当たっては、平成29年度に新たに策定したストックマネジメント計画のリスク評価による対策の優先順位に基づき、下水道施設全体の修繕・改築を中長期的な計画で効率的に行うことで、施設の事故発生や機能停止を未然に防止し、修繕・改築コストの低減を図っていきます。
全体総括
当町は、観光立町であるため、観光客の動向により料金収入は大きく左右されることとなります。また、今後は、施設の老朽化対策や流域下水道への加入に係る建設費などのために多額の資金が必要となります。このような状況の中で安定した経営を行っていくために、料金改定を含め、維持管理費用の削減、水洗化率の向上など経営状態の改善に向けて経営計画の見直しを進めていく必要があります。その手段の一つとして、平成30年度から、地方公営企業法を適用して公営企業会計へ移行し、ストック情報や損益情報などの経営情報を的確に把握するとともに、施設の老朽化等の状況など資産の現状を把握し、適切な管理を行っていきます。