経営の健全性・効率性について
①経常収支比率:料金改定を行った平成29年度以降100%を超えており、収益性は確保されている。②累積欠損金比率:上記の年度に料金改定を行った以降、累積欠損金は発生していない。③流動比率:前年度に比べ28.91ポイント減少した。これは、当該指標の分母である流動負債が増加したためである。具体的には、建設改良費等の財源に充てるための企業債や未払金が増加した。ただし、比率は100%を超えているため、短期的な債務に対する支払い能力は備えている。④企業債残高対給水収益比率:前年度に比べ40.15ポイント増加した。これは、当該指標の分母である給水収益が減少したためである。要因は、新型コロナウイルス感染症に関する生活支援策として基本料金の免除を実施したためである。また、令和2年度に限らず類似団体平均値及び全国平均を上回っている要因は、老朽管更新及び施設整備の財源として毎年度企業債を発行しているためである。⑤料金回収率:前年度に比べ9.18ポイント減少した。これは、給水収益が減少したためである。要因は、新型コロナウイルス感染症に関する生活支援策として基本料金の免除を実施したためである。⑥給水原価:前年度に比べ1.02円減少した。これは、当該指標の分母である年間有収水量が増加したためである。要因は、コロナ禍の影響により、家庭内での水道の使用が多くなったためだと考えられる。⑦施設利用率:類似団体平均値及び全国平均を上回っており、事業規模に見合った運用ができている。⑧有収率:前年度に比べ0.11ポイント減少した。これは、地下漏水量が前年度に比べ増加したためである。
老朽化の状況について
①有形固定資産減価償却率:前年度に比べ0.92ポイント増加した。年々比率は増加しているものの、類似団体平均値及び全国平均は下回っている。これは、老朽管や経年施設の更新を計画的に行っているためである。②管路経年化率:前年度に比べ0.05ポイント増加した。年々比率は増加しているものの、類似団体平均値及び全国平均は下回っている。これは、毎年度老朽管の更新を計画的に行っているためである。③管路更新率:前年度に比べ0.09ポイント減少した。減少しているものの、類似団体平均値及び全国平均は上回っている。これは、毎年度老朽管の更新を計画的に行っているためである。
全体総括
本市の水道事業は、令和2年度決算において約1億8,800万円の純利益を計上した。前年度に比べ約1,000万円増加した。増加した要因は、施設の電気設備にかかる減価償却費が減少したため及び高利率の企業債の償還が終了し、支払利息が減少したためである。しかし、1.⑤の料金回収率は令和元年度以降100%を下回っている。今後も給水人口の減少や節水機器の普及に伴って有収水量が減少するため、給水収益は減少する見込みである。したがって、経費の削減等により経営改善を図っていく必要がある。なお、平成29年度に策定した経営戦略については、令和4年3月に総合的な見直しを行う予定である。令和4年度からは、見直した経営戦略に基づき事業を執行していく。また、投資・財政計画と実績に乖離がないか毎年度進捗管理を行い、計画と実績の乖離が著しい場合には、その原因を分析して対策を講じ、経営健全化及び経営基盤の強化を図っていくこととする。