経営の健全性・効率性について
①収益的収支比率総収益(料金収入や一般会計からの繰入金等の収益)については減少傾向にあり、総費用と地方債償還金の合計も減少している。これは総費用についてはほぼ横ばいであるが、地方債償還金が減少していることが要因となっている。これにより、収益的収支比率についてH25は6.14pt増加(H22比)し90.97%まで改善した。④企業債残高対事業規模比率地方債残高から一般会計負担額を差し引いた残高はほぼ横ばいであるのに対し、主な収入である下水道使用料については増加傾向にある。このため、下水道使用料等に対する地方債残高の比率についてH25は43.04pt減少(H22比)し349.38%となっている。これは全国平均や類似団体平均値と比較すると低い比率となっている。⑤経費回収率現在整備途中のため処理区域面積が年々増加していることや、普及活動の成果により一定数の新規接続があるため、下水道使用料は増加傾向である。汚水処理費も増加傾向であるが、下水道使用料の増加が若干上回っているため、経費回収率もやや改善している。ただ、H25では88.86%であり、使用料で回収すべき経費を、全て使用料で賄えていないことを示している。類似団体と比較すると高い比率となっている。⑥汚水処理原価150円を超える部分については分流式下水道に要する経費(公費負担分)としているため、150円の横ばいとなっている。類似団体平均値と比較すると低い値となっている。⑧水洗化率水洗便所設置済み人口は新規接続によりH26は5pt増加(H22比)しているが、処理区域人口も整備の進捗に伴い4pt(同)増加している。水洗便所設置済み人口の伸び率が処理区域人口の伸び率を上回っていることにより、水洗化率は整備中にもかかわらず増加傾向である。全国平均や類似団体平均値と比較すると低い率となっている。
老朽化の状況について
③管渠改善率建設事業開始がS50年度であり汚水管渠については古いものでも40年を経過しているが、耐用年数の50年には達していないため、現状ではまだ更新を行う必要性は低いと考えられる。
全体総括
⑤経費回収率、⑥汚水処理原価をみると汚水処理原価が公費負担分で抑えられているにもかかわらず、下水道使用料で回収すべき経費の全てを賄えていない状況を示している。また①収益的収支比率については地方債償還金が減少しているため改善傾向であるが、100%未満である。これらの不足分は一般会計からの繰入金に依存している状況を各指標は示している。経営改善を図るには、下水道使用料の収入増に取り組む必要があり、まず改善する余地のある⑧水洗化率の向上が考えられる。今後は、さらに人口減少の影響や節水による使用料収入の減少が考えられ、単独事業の増加による地方債残高や償還金の増加、長寿命化対策、将来的には管渠や設備の更新に要する経費の増加が見込まれるため、それらの要因による対策や財源の確保が必要である。これについても上記の取り組みに加え、適正な下水道使用料の検討,費用対効果の高い整備計画が必要である。なお、⑦施設利用率は、処理場を単独で持っていない流域関連公共下水道のため算出の対象とならないことから、分析を行っていない。また、①④⑤は、打ち切り決算のため指標に適切に反映されないH26の当該値を除いて分析を行った。