経営の健全性・効率性について
①収益的収支比率は東日本大震災の影響により一時的に下がり,H26は回復したものの一般会計繰入金の減により100%未満となっている。水洗化率の向上に努め,使用料以外の収入に依存しない経営努力が必要である。④企業債残高対事業規模比率は,新規整備がほぼ収束に向かい企業債残高が減少傾向にあるため類似団体平均値を大きく下回っているが,今後は施設の更新により残高の増加が見込まれる。更新投資を計画的に行い残高の平準化を図る必要がある。⑤経費回収率はほぼ100%で類似団体平均を上回っており,⑥汚水処理原価は類似団体平均より少額となっている。供用開始から約30年経過し,ある程度安定した有収水量及び使用料収入が確保できていると考えられるが,今後施設の老朽化等により維持管理費の増が見込まれ,水洗化率の向上や施設の効率的な維持管理が必要となる。⑦施設利用率も同様に供用開始から約30年経過し,約80%と類似団体平均を上回っている。今後は処理区域の拡大とあわせて水洗化率向上に取り組み,利用率を100%に近づける必要がある。⑧水洗化率は処理区域の拡大とともに年々上昇し,H26は類似団体平均を上回ったが,今後は整備の収束につれ緩やかな伸びとなる見込みである。水洗化率の向上は健全な経営の鍵であるため今後も接続推進のための取り組みを行っていく。
老朽化の状況について
③管渠改善率は0%であるが,これは耐用年数に達した管渠が発生していないためであり,類似団体平均値と比較してもほぼ同じ比率となっている。老朽化対策としては現在,ポンプ場や処理場施設の改築更新を行っており,今後管渠の更新投資の発生が見込まれる。
全体総括
本市の公共下水道事業はS60年の供用開始から約30年経過しており,下水道事業計画区域内におけるH26年度末時点の整備率は76.4%で,今後おおむね10年以内での整備完了を目指している。各指標については,総じて類似団体平均値と比較して特段悪化しているものは見られず,現時点では一定程度健全な経営が図れていると考えられる。新規整備の収束につれ,今後は使用料収入の確保と効率的な維持管理がより重要となる。引き続き,水洗化率向上に向けた取り組みや計画的な老朽化対策のほか,費用対効果を考慮した整備計画の検証を行い,経営の健全性を確保するよう努力する必要がある。