経営の健全性・効率性について
①経常収支比率令和2年度は、新型コロナウイルス感染症対策による水道基本料金免除措置を実施したことに伴い、減収が生じたため比率が減少した。②累積欠損金比率令和2年度も引き続き欠損金は発生していない。③流動比率令和2年度は、前年度同水準であり、300%超で推移を続けていることから、十分な支払能力を維持した健全な状況といえる。④企業債残高対給水収益比率及び⑤料金回収率令和2年度は、新型コロナウイルス感染症対策による水道基本料金免除措置を実施したことに伴い、減収が生じたため比率が減少した。⑥給水減価令和2年度は、引き続き140円台で推移しており、平均値を下回っている。これは、暫定水利権によるもので、水源開発に係る費用負担が発生していないことが大きな要因である。⑦施設利用率令和2年度は、引き続き80%弱で推移しており、平均よりも高い水準となっており、一定の余裕を確保しつつ効率的に施設を活用しているといえる。⑧有収率令和2年度は、前年度よりも比率が減少しており、平均値よりも低い水準で推移していることから、老朽管の更新等により有収率の向上を図る必要がある。
老朽化の状況について
①有形固定資産減価償却率令和2年度は、前年同水準で推移しており、平均値よりも高い水準であることから、他団体と比較して耐用年数を超えた施設割合が高い状況といえる。②管路経年化率令和2年度は、前年と比較し微増となった。平成28年度から石綿セメント配水管の布設替を重点的に進めており、平均値よりも低い水準を維持している。③管路更新率令和2年度は、前年と比較し比率が上昇し、平均値と同水準となっている。管路の老朽化と更新ペースの乖離を抑えられるよう、計画的に管路更新を進める必要がある。
全体総括
令和2年度は、新型コロナウイルス感染症対策による水道基本料金免除措置を7か月間実施したことにより、給水収益が2億8千万円の減収となったことに伴い、各比率は悪化しているものの、経常収支比率は100%以上、流動比率は350%以上を維持しており、経営環境に影響のない範囲での経済対策を実施した。本対策を除けば、各比率は前年同水準以上となることから、健全な経営を維持しているといえる。ただし、現在の健全な経営状況は暫定水利権により水源開発費用負担が発生していないことが要因であり、本市が参画している思川開発事業の令和6年度完了とともに、多大な費用負担が発生することとなる。人口減少による給水収益の減少に加え、水源開発や施設更新等の費用負担増など、厳しい経営環境が見込まれることから、水道事業の広域化・共同化や適正な料金水準の検討を推進する必要がある。