経営の健全性・効率性について
【健全性】「①経常収支比率」は100%を上回っており、単年度収支は黒字となっていますが、「⑤経費回収率」が100%を下回っているため、下水道使用料以外の財源で汚水処理費を負担している状況であり、更なる経費削減など、経営の健全性の確保に努めていく必要があります。「②累積欠損金比率」は当年度純利益により繰越欠損金が解消されました。「③流動比率」は類似団体平均及び全国平均よりも低く、「④企業債残高対事業規模比率」は類似団体平均及び全国平均よりも高い水準となっています。いずれも企業債元金償還金が多額になっていることが原因となっていることから、今後、より計画的な企業債発行に努めていく必要があります。【効率性】「⑥汚水処理原価」は類似団体平均及び全国平均よりも高い水準となっており、これは処理区全体の約14%が合流式で整備されているため有収水量割合が低く、汚水処理費が割高になることがその原因となっています。「⑦施設利用率」は、前年度と比して減少しています。有収水量に大きな変動がないことから、合流管への侵入水が少なかったことが要因と考えられ、晴天時一日平均処理水量が減少したことによるものです。「⑧水洗化率」は類似団体平均及び全国平均よりも低いため、水洗化率向上に向けた計画的な管渠整備、水洗化普及活動等の取組を行っていきます。
老朽化の状況について
「①有形固定資産減価償却率」は類似団体平均及び全国平均を下回っていますが、これは公営企業会計移行時に取得価額から減価償却累計額相当を控除して帳簿原価としたため、減価償却累計額が低い数値となっていることが要因です。前年度と比較すると4.20ポイント増加しており、老朽化が進行していることを表しているため、計画的な更新・改良を実施する必要があります。「②管渠老朽化率」は前年度に比較し上昇しており、資産、管渠いずれにおいても、老朽化が進行していることとから、計画的かつ効率的な維持修繕・改築更新に取り組む必要があります。「③管渠改善率」は前年に比較し減少しています。これは改良・更新延長が減少していることが原因であり、今後も耐用年数を経過した管渠が年々増加していくことから、計画的に改善・改良等を実施する必要があります。
全体総括
本市の公共下水道事業は、令和2年度から企業会計に移行し、移行初年度において計上された退職手当引当金、貸倒引当金等の特別損失により、経営の健全性・効率性を示す指標の一部が一時的に悪化しましたが、令和3年度には改善されました。今後も、これまで以上に自立性の高い経営が求められるなか、厳しい財政状況ではありますが、適正な汚水排除・処理機能の確保により、公共用水域の水質を保全し、衛生的な生活環境を確保していくため、各種事業について計画的かつ効率的に進めてまいります。なお、平成28年度に策定した経営戦略については、令和4年度改定予定としており、経営の健全性を保ちながら計画的に改築・更新を進めていくこととしています。