経営の健全性・効率性について
平成30年度の水道事業は、経常収支比率・料金回収率とも前年度に続き100%を超え、単年度収支が黒字で、給水に係る費用を給水収益で賄えており、率も向上している。流動比率は300%を超え、1年以内の債務に対する支払能力が十分にあり、企業債の残高も償還が進み減少してきていることから、引き続き健全経営が維持されていると判断している。給水原価については、寒冷地対策で水道管を地中深く埋設する必要があるため建設費用が割高となる。また、水源が河川の下流にあり、浄水のため薬品費がかかり、従来から類似団体等に比べ原価が高い状況にある。施設利用率については、節水機器の普及等により配水量が減少し、施設の配水能力に対する割合が下がっている。有収率は近年上昇しており、水道施設を通して供給される水量が着実に収益に結びついている。
老朽化の状況について
平成30年度の有形固定資産減価償却率は、51.17%となっており、保有資産の約半分が法定耐用年数に近づいていると分析できる。数値は類似団体や全国平均と比べて若干高く、当市の施設の老朽化が比較的進行している状況を表している。管路経年化率に関しては、昭和40年代に布設された大麻団地の管を既に更新していることにより、2.72%と類似団体に比べて低い数値となっている。一方、昭和50年代に布設された管も多くあり、耐用年数を迎えつつある。管路更新率0.77%では全ての管路を更新するのに100年以上かかることから、各年度の事業費を平準化しながら、計画的な更新を実施していく。
全体総括
水道事業は現時点では健全な経営状態にある。平成30年度は前年度に比べ人口・給水戸数ともに増加したにもかかわらず、有収水量は減少した。節水機器の普及等により1人あたりの使用量が減少する中、今後人口が減少した場合、有収水量は更に減ると考える。また、大量の管路が今後更新時期を迎え、その先には大規模施設の更新が控えている。全く楽観視できる状況にはない。今後は、令和元年度から10年間を計画期間とする上下水道ビジョンにおける長期的な収支見通しに基づき、引き続き効率化等により費用の圧縮を図るとともに、料金収入と企業債の借入との適切なバランスを取りながら、健全経営を維持していく。