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地方財政ダッシュボード

新潟県南魚沼市の財政状況

🏠南魚沼市

地方公営企業の一覧

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収録データの年度

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総括表

人口の推移

財政比較分析表(2023年度)

財政力指数の分析欄

平成20年度をピークに低下が続いていたが、平成29年度からは単年度で0.41前後で推移している。令和5年度は基準財政需要額と基準財政収入額ともに微増している。単年度の財政力指数は前年度同様に0.42となったが、3か年平均では0.41と横ばいであった。なお、3か年平均は平成30年度から0.41と横ばいが続いている。公債費や公営企業(水道事業・病院事業・下水道事業)に対する補助金が高額であるなどの構造的な問題により、短期的な改善は難しい状況ではあるが、引き続き、保育園民営化や公共施設・インフラの維持補修費等の削減につながる集約化・長寿命化等を推進するとともに、市税徴収強化の取組等により財政基盤の強化に努めていく。

経常収支比率の分析欄

令和元年度の下水道事業の法適化以降同程度の水準で推移すると考えていたが、物価高騰等による物件費増から令和4年度に増加となった。令和5年度は前年度より0.1ポイント減少となり、類団平均より低い数値で推移している。学校及び保育園の統合による人件費、物件費及び維持補修費の削減を進めているが、いずれも目に見える効果が出てくるまでは時間がかかる見込みである。今後も医師確保やDPC制度導入により病院経営が軌道に乗るまでは病院事業への繰出金が多額となることに加え、下水道事業への繰出金も高額で推移する見込みである。今後も保育園民営化や公共施設の集約化など、さらなる経費の削減等に取組み、経常経費の圧縮に努めていく。

人口1人当たり人件費・物件費等決算額の分析欄

類似団体平均値及び新潟県平均値と比べて高い水準となっている理由は、市外の区域も担当している廃棄物処理業務や消防業務等があることに加え、公立保育園16園の運営、公設民営子ども園3園の運営委託をしていること、また当市は日本有数の豪雪地域であることから維持補修費(除雪経費)が高水準なことも要因と考えられる。なお、平成29年度からふるさと納税返礼品事業を開始し、年々寄附金額が伸びていることにより、物件費が増加傾向である。令和2年度からの大幅増加については、ふるさと納税返礼品事業の伸びに加えて、新型コロナウイルス感染症対策事業の影響によるものである。さらに令和4年度からは物価高が進み令和5年度も引き続き物価高が進んでいることから、物件費が増額することとなった。人口減少に伴う保育園統合により人員削減が進み、徐々に人件費の減少が期待される一方、ふるさと納税返礼品事業費は増加傾向であることや、物価高の先行きが不透明であることから物件費の増は今後も続くと見込む。

ラスパイレス指数の分析欄

類似団体や全国平均よりも低い水準で推移している。人口1,000人当たり職員数が多いことから、総額人件費を抑制するため、昇格、昇給基準や各種手当の見直しなどにより、人件費の抑制に努めてきた。令和5年度は、令和4年度とほぼ同じ水準となっている。今後も現在の水準を維持できるよう適正化に努める。

人口1,000人当たり職員数の分析欄

定員管理適正化計画に基づき、退職者不補充等により職員数削減を進めてきた。しかし、直営保育施設の割合が高いこと、市立病院の運営に医療職が必要なことや、隣接自治体の廃棄物処理、消防救急事務等を受託していることから、類似団体平均や全国平均に比べ大きく開きがある状況が続いている。職員数削減は進んだものの、人口の減少に伴い人口1,000人当たり職員数はほぼ横ばいの状況が続いている。業務の増大、多様化、複雑化により、職員数を削減するには極めて難しい時期になってきていることは間違いないが、新規事業着手の際の既存事業の見直しや、組織・機構改革、民間委託、適正な職員配置、公務能率の向上等により、適正規模に近づけていけるよう努める。

実質公債費比率の分析欄

令和5年度単年度数値は令和4年度の11.2から11.3へと0.1ポイント増加となった。分子となる元利償還金が204百万円減少した一方で、公営企業の経費に要する財源に充てられる繰入金が大きく増額したことから比率が増加した。3か年平均としては令和4年度から0.2ポイント増加となった。令和6年度以降、統合給食センター、健診施設、広域ごみ処理施設の建設を予定しているため、地方債発行は避けられず、今後は上昇が見込まれることから、可能な限り改善を進めておかなければならない。事業内容の精査等により投資的経費を抑えることで新発債を抑制するとともに、優良債を活用することで今後も比率改善に努めていく。

将来負担比率の分析欄

地方債残高、退職手当負担見込額及び公営企業債等繰入見込額の減少により、近年改善が見られている。また平成30年度から、ふるさと納税寄附金から返礼品等の経費及び事業充当額を控除した額を基金積立していることから、分子から控除される充当可能基金が増加し、令和5年度は算定無しとなった。しかし、充当可能財源等のうち基準財政需要額算入見込額が年々減少していることや、令和6年度よりふるさと納税にて積立てた基金を活用した事業の実施を多く予定しており、安心できる状況にはない。標準財政規模が縮小傾向の中、合併特例債等の基準財政需要額算入率の高い地方債の償還が進むこと、大型建設事業(統合給食センター、健診施設、広域ごみ処理施設)による地方債発行が避けられないことから、令和6年度以降は上昇に転じると見込むが、可能な限り投資的経費を抑制することにより、将来負担比率の分子の増加を抑えるよう努めていく。

経常経費分析表(経常収支比率の分析)(2023年度)

人件費の分析欄

二度の合併と広域水道企業団及び広域連合の継承により、職員数は類似団体平均値よりも多いものの、定員管理適正化計画の確実な実行(退職者不補充、昇給・昇格基準及び各種手当の見直し、給与削減等)により、人件費の抑制に努めてきた。平成30年度から小、中学校や保育園の統合を実施している。施設数は減少しても正職員については配置転換により雇用を継続するため、短期的には効果が現れてこないものの、将来的な人件費の抑制につながる取組を行っている。令和2年度に大幅に増加しているが、会計年度任用職員の賃金(物件費)が報酬(人件費)になった影響であり、全国平均も同様に上昇している。令和5年度は国の給与改定に合わせ、当市でも改定を行ったことから0.5ポイントの増加となった。今後も職員数の適正化と行政改革の取組を通じ、さらなる改善に努める。

物件費の分析欄

傾向としては、類似団体平均値よりも低い値で推移している。令和2年度は会計年度任用職員の賃金が報酬となり、物件費から人件費に移行したことから減少した。一方、令和3年度からふるさと納税寄附金返礼品に係る業務委託料が増加したことや令和4年度からの物価高により物件費の比率は増加を続けていた。令和5年度は電気料高騰等が落ち着き、前年度から0.3ポイントの改善が見られたが、物価高の影響がいつまで続くか不透明であり注視する必要がある。これまで、保育園の公設民営化、指定管理者制度を活用した公共施設運営の推進等により、民間活用が可能な事業については直営から委託等に切り替えを行ってきた。今後も、民間委託を進めるとともに、保育園民営化や公共施設の集約化等により経費削減に努めていく。

扶助費の分析欄

扶助費に係る経常収支比率は類似団体平均値よりも低く推移してきている。令和2年度の減少は、会計年度任用職員の報酬が人件費になった影響で、一部扶助費に含んでいたものが人件費へ移行したものである。令和5年度はこども医療費助成額の増加等の理由から決算額が増えており、比率が0.3ポイント増加した。生活保護受給世帯や障がい者に対する介護給付費等の福祉関係経費は年々増加してきており、今後も保育園民営化や保育ニーズの多様化への対応、福祉関係施設に勤務する職員の処遇改善の影響など扶助費の増加要素は多岐にわたる。今後も事業内容の精査や資格審査等の適正化に努める必要がある。

その他の分析欄

豪雪地域である当市では降雪状況により除排雪に係る維持補修費が毎年変動することや、下水道等の企業会計の経営状況により繰出金も変動しており、一定の金額を目指していくことは難しい。令和5年度は小雪となり除排雪経費が減ったため維持補修費が4.4%(前年度比-0.6%)となった。繰出金は9.0%(前年度比+0.2%)と増えているものの維持補修費が減ったことでその他項目全体では0.5ポイント減少となった。公共施設の集約化等を進め、将来的な経費抑制につながる取組を進めなくてはならない。

補助費等の分析欄

令和2年度は新型コロナウイルス感染症による事業中止の影響から数値は改善されたが、令和3年度はその影響が緩和され増加となっている。令和4年度で改善したものの令和5年度は水道事業への高料金対策に対する補助金が新たに増えたことや下水道事業への繰出金が増加したことにより0.8ポイントの増加となった。補助費等については従来から、公営企業(水道事業・病院事業、令和元年度からは下水道事業)への補助金が大きな割合を占めている。病院事業については、経営が軌道に乗るまでは相当の補助が必要になるものと考えるが、経営状況等を注視し、明確な基準に従った適正な補助とするよう努めていく。下水道事業についても適切な繰出額を模索し、補助をしていく。

公債費の分析欄

平成19年度以降の公的資金補償金免除繰上償還や、近年の超低金利政策下における高利率の地方債の借換え等により利子負担は大きく軽減することができたが、市町村合併に伴い、平成29年度までに合併特例債を活用した投資的事業が集中したことに加え、今後は公共施設等の集約化・長寿命化を進める必要があり、今後も地方債発行が必要となる。令和5年度は元金償還額が借入額より大きくなるため前年度から減少となったが、令和6年度以降に予定している建設事業により比率は増加すると見込んでいる。他の投資的経費は更縮減を進め公債費の抑制に努めていく必要がある。

公債費以外の分析欄

公債費以外の経常収支比率については、異常少雪等による経常経費の減によって減少した年度を除くと、ほぼ類似団体平均や全国平均と同程度で推移してきた。令和5年度は企業会計への補助金の増や令和4年度から続く物価高の影響から0.9ポイント増となっているが、類団平均と同様の推移となっている。合併以降、財政健全化計画に基づき、各種の見直し等を進めてきた結果、公営企業等他会計への補助金及び繰出金を除き、一定の経常経費の削減成果は表れている。各種事業の民間委託を進めていく中で、現在は一時的に経費が増加している部分があるが、徐々に人件費等の削減効果が表れてくる予定である。公営企業等他会計の状況を注視しつつ、引き続き不断の事務事業改善により削減を進めていく必要がある。

目的別歳出決算分析表(住民一人当たりのコスト)(2023年度)

議会費

労働費

消防費

諸支出金

総務費

農林水産業費

教育費

前年度繰上充用金

民生費

商工費

災害復旧費

衛生費

土木費

公債費

目的別歳出の分析欄

令和5年度は新型コロナウイルス感染症に係る事業が終了したことやふるさと納税を活用した新規事業などで増減をしているものが多い。総務費は、ふるさと納税返礼品事業の伸びや市所有施設の解体事業による増加である。なお、令和2年度は単年度で特別定額給付金事業があったため大幅な増加となった。民生費は、主に価格高騰緊急支援給付金事業の増加による影響である。衛生費は、病院事業への補助金や健診施設建設事業が増額となったことで増加している。また、類似団体平均よりも高くなっているが、これは水道事業及び病院事業に対する補助並びに市外区域も担当している廃棄物処理業務が主な要因である。今後、広域ごみ処理施設の建設を予定しているため、数年後には更に増加すると見込んでいる。農林水産業費は、ほぼ横ばいとなっている。商工費は、令和5年度に大幅減少となっているが、これはプレミアム商品券事業などの新型コロナウイルス感染症対策事業が終了した影響である。土木費については、ふるさと納税を活用した市道舗装事業や下水道事業会計への補助金が増額したことが要因となっている。また、市域面積が広く人口密度が低いことに加え、特別豪雪地域であるために除雪経費が嵩むことで類似団体平均より高額となっている。県平均も同様に高水準であることから地域特性によるところが大きいものと捉えている。消防費については、衛生費の廃棄物処理業務と同様に、市外区域の消防業務を担当しているため類似団体平均値よりも高い水準である。なお、令和5年度はほぼ横ばいとなっている。教育費については、主に市内小学校の長寿命化改修事業により令和5年度は増加した。今後、統合給食センターの建設を予定しているため、令和6年度以降大きく増加すると見込んでいる。

性質別歳出決算分析表(住民一人当たりのコスト)(2023年度)

人件費

補助費等

災害復旧事業費

投資及び出資金

物件費

普通建設事業費

失業対策事業費

貸付金

維持補修費

普通建設事業費(うち新規整備)

公債費

繰出金

普通建設事業費(うち更新整備)

積立金

前年度繰上充用金

性質別歳出の分析欄

歳出決算総額から算出した住民一人当たりコストは750,936円(前年度比+9.9%)となった。これは、決算額が前年度比+3,167百万円と増加したことによるものであるが、主な要因としては、ふるさと納税を活用した道路舗装や消雪施設の改修、市内小学校の長寿命化改修などで普通建設費が大幅に増額となったことがあげられる。普通建設事業は各団体の需要に沿った整備となるため類似団体や県平均と比較することは難しいが、例年と変わることなくさらなるコスト削減の取り組みを進めている。性質別に特徴的なものを見てみると、人件費については、令和2年度から会計年度任用職員制度が始まり、賃金(物件費)の廃止に伴い、報酬(人件費)へ移行したことから、令和5年度も同水準で推移している。類似団体と比べ高水準にあるが、直営保育園の割合が高いことや、隣接他団体の廃棄物処理、消防救急等の業務を受託していることによるものである。物件費も増額となっているが、ふるさと納税事業の伸びにより業務委託料が増加していることや物価高騰の影響によるものである。また、ふるさと納税の一部を基金に積み立てる運用をしていることから、積立金も高水準で推移している。維持補修費は除雪経費が大きな割合を占めており、類似団体平均よりも高い要因となっている。令和5年度は例年に比べ小雪であったことから減少となっている。補助費等は、令和2年度が特別定額給付金事業により大幅増加したが、単年度事業であったため令和3年度以降は落ち着いている。普通建設事業費については、冒頭でも記載したとおり各整備事業実施により大幅な増となった。公債費については、合併特例債を活用した大規模な投資事業が続いたことから高水準で推移しているが、ゆるやかに減少に向かう。繰出金は、公営企業の経営状況によって増減があるが、大きな変動はなく横ばいとなっている。投資及び出資金については、事業会計の繰入内容に合わせて資本的支出については投資で支出する整理としたため、近年は増加している。

実質収支比率等に係る経年分析(2023年度)

分析欄

財政調整基金残高の増減理由については、別表「(11)基金残高に係る経年分析」にて説明のとおりである。令和5年度は基金残高が55百万円増加した影響から割合が増加した。標準財政規模比10%程度を基本線としつつ、今後も災害等の突発的な事象への備えとして、一定額を確保するよう努めていく。実質収支は前年度の2,233百万円から524百万円減の1,708百万円となり、単年度収支はマイナスとなった。実質単年度収支も451百万円とマイナスとなった。令和元年度については異常少雪による維持補修費の減、令和2年度および令和3年度については大雪だったものの、新型コロナウイルス感染症の影響により多くの事業を中止したため全体的な歳出の減、令和4年度についてはワクチン接種等の新型コロナウイルス感染症対策事業に係る国県支出金受入額が、歳出額と比べ多額だったことと、標準財政規模の減少が影響している。令和5年度は令和4年度に入っていた新型コロナウイルス感染症対策事業に係る国県支出金の収入が減少したことで比率は減少することとなった。

連結実質赤字比率に係る赤字・黒字の構成分析(2023年度)

分析欄

一般会計では、標準財政規模比での黒字割合は令和元年度から令和4年度については増加しているが、令和5年度は(7)実質収支比率等に係る経年分析記載の理由から減少となった。実質収支額は積雪対応等の特殊事情の要素が強いため年度ごとの増減あるが、基本的には5%~7%程度で推移するものと考えている。地方債残高が高水準にあることから、地方債発行の抑制による黒字幅の縮小について、より意識的な取組みに努めていく必要がある。水道事業会計については、1,479百万円の剰余額があるものの令和4年度に比べ199百万円の減となっている。人口減少による給水収益の減少、老朽化した施設更新費用の増加により、剰余額が減少する見込みとなることから、料金体系の見直しをはじめ収益改善の取組を進めている。病院事業会計については、平成23年度から資金不足を解消するために一般会計から繰出しを行っている。市立病院群の新体制移行に伴い多額の企業債を発行したこともあり、経営状況が安定しているとは言えない状況にあるため、経営支援のための一般会計繰出金も増加している。令和4年度には経営改善の指標とするため、「医療のまちづくりに関する骨太の全体計画」を策定した。この計画に基づき、今後の経営改善に努めることとしている。下水道事業会計については、剰余額93百万円となっており、令和4年度に比べ41百万円の増となっている。一般会計からの補助金の増等による理由であるが、R3年度以前ほどの余剰金とはなっていない。独立採算制の原則からも使用料の改定も視野に入れる必要がある。

実質公債費比率(分子)の構造(2023年度)

分析欄

合併特例債の償還金増加により、元利償還金は増加傾向にあったが、平成28年度をピークに数年は減少傾向となる見込みであった。しかし、平成29年度より据え置き期間の見直しを行ったことで、令和2年度に向け再度増加したが、令和3年度以降はその影響がなくなり減少した。公営企業債の元利償還金に対する繰入金については、水道事業は高料金対策に対する繰入額が繰出基準に該当しなくなったこと、また下水道事業が法適化したことにより基準内繰出が減少したことで令和4年度までは減少が続いていた。令和5年度は水道事業で高料金対策の繰出基準に該当するため単年度に限り繰入が増加したことなどで増加することとなった。合併特例債や平成23年7月新潟・福島豪雨災害に伴う災害復旧事業債の償還額が増え、元利償還金が高額となっているが、いずれも算入公債費比率が高いため、算入公債費等も同じく高額となっている。しかし、算入率の高い市債の償還が進むことで、今後の算入公債費等は減少が見込まれる。実質公債費比率が類似団体や県内平均と比べて高い比率にあることから、実質公債費比率の分子を減少させるために努めて投資的経費を抑制しているところだが、令和6年度以降の大型建設事業により市債発行は避けられず、数値の上昇が見込まれる。

将来負担比率(分子)の構造(2023年度)

分析欄

一般会計等に係る地方債の現在高については、大規模な投資的事業が一段落し償還も進んできたため減少で推移している。公営企業債等繰入見込額は、全事業について減少したが、今後も減少傾向が続く見込みである。充当可能財源等については、近年ほぼ横ばいが続いている。これは合併特例債、災害復旧事業債など基準財政需要額への算入率が高い地方債の償還が進み、基準財政需要額算入見込額が大幅減少している一方、ふるさと納税を財源とする基金積立により、充当可能基金が増加傾向にあるためである。しかし、当基金の目的は寄附者の意向に沿った事業に充当するため短期的に積み立てているにすぎず、さらに恒久的に続く制度ではないため、臨時的・一時的な増加であり、安心できる状況にはない。したがって、充当可能財源等の増加を図るより、むしろ地方債現在高を減少させることに重点を置く必要があると認識している。しかし、今後は大型建設事業(統合給食センター、健診施設、広域ごみ処理施設)による地方債発行が避けられないことから、今後は上昇に転じると見込むが、可能な限り投資的経費を抑制することにより、将来負担比率の分子の増加を抑えるよう努めていく。

基金残高に係る経年分析(2023年度)

基金全体

(増減理由)基金全体としては、平成30年度からふるさと納税による寄附金のうち、市が活用できる金額を「ふるさと応援基金」および「ふるさと応援活用基金」として管理し始め、ふるさと納税寄附金の増加に伴い基金全体に占める割合も増え、全体額が増加している。(今後の方針)特定目的基金についてはその目的により取り崩しを行っていくが、財政調整基金及び減債基金については、可能であれば積み増し、基金残高全体としては現在の水準を確保していくように努力していく。

財政調整基金

(増減理由)平成30年度から残高が増加しているが、基金運用益を除く余剰資金を積み立てたものではなく、ふるさと納税返礼品の定期便に係る経費のうち、年度をまたぐ翌年の経費を年度末に積立て、翌年度に同額を取り崩して運営している。そのため年度をまたぐ定期便の申し込みが増えていくにつれ、財政調整基金も増加していく仕組みとなっている。ただし、令和5年度においては、余剰資金の積立を行い微増となっている。(今後の方針)平成23年の災害を教訓に、災害等の突発的な事象への備えとして一定額を確保するため毎年積み増していきたいところだが、除雪経費が他市に比べ大きく、さらに不確定要素として大きなウェイトを占めている当市においては計画的な積立は難しい。令和3年9月に策定した第3次財政計画に基づき、標準財政規模比の10%程度を最低限確保するよう努めていくともに、今後控える大型建設事業に備えて積み増しを進めていく。

減債基金

(増減理由)平成22年には437百万の残高があったが、平成23年の災害を機にほぼすべてを取崩し、平成25年に86百万円を積み立ててからは数万円の運用益を積み立てる程度であり現在の残高を維持している。令和5年度は普通交付税の再算定にて追加となった臨時財政対策債償還基金費分を82百万円を積立てたことで増加となったが、令和6年度、令和7年度にかけて臨時財政対策債の償還に充てることから令和7年度末には令和4年度と同水準となる予定。(今後の方針)将来金利が上昇し借換債を発行するのが不利な状況となった場合に備え、7億円程度の残高を確保したいが、財政調整基金への積み増しが優先となる現状、減債基金は現在の残高を維持することとしている。

その他特定目的基金

(基金の使途)・南魚沼市ふるさと応援基金:南魚沼市ふるさと応援寄附金を管理し、寄附者の思いを反映した施策に活用し、魅力あるまちづくりを推進するため・南魚沼市合併振興基金:市民の連帯の強化及び地域振興のための事業費用に充てるため・南魚沼市ふるさと応援活用基金:令和4年度以降に寄附のあった南魚沼市ふるさと応援寄附金を管理し、寄附者の思いを反映した施策に活用し、魅力あるまちづくりを推進するため・南魚沼市人材育成及びリゾートオフィス・田園都市構想松井基金:南魚沼市の産業の発展に寄与するイノベーション人材の育成及び人や企業を呼び込み地域の活性化を促進するリゾートオフィス・田園都市構想の推進に係る財源に充てるため・南魚沼市ふるさと基金:南魚沼地域広域計画協議会における広域的な事業の実施のため(増減理由)・南魚沼市ふるさと応援基金:平成30年度から令和3年度までの積立分。令和4年度以降は事業充当のため取崩しのみとなる。令和5年度は体育施設整備事業、地域医療対策事業等に充てるため444百万円取り崩した。・南魚沼市合併振興基金:平成29年度以降は充当事業に関する考え方を再度まとめるために取崩しを休止している。・南魚沼市ふるさと応援活用基金:令和4年度から新規設置。ふるさと納税による収入のうち3,464百万円を積み立て、市内病院の高額医療機器整備への繰出金や市道舗装・消雪施設の整備などに充てるため1,340百万円を取り崩した。・南魚沼市人材育成及びリゾートオフィス・田園都市構想松井基金:株式会社アルプス技研創業者松井利夫様の寄附金を財源とした基金。令和5年度はイノベーション事業に68百万円充当し、運用益211千円を積み立てた。(今後の方針)各基金ともに使途に従って取り崩し、該当する事業に充当していく。合併振興基金については、最も効率的に基金を活かす方法を模索し、充当事業に関する考え方をまとめた後に事業に充当していく。なお、「ふるさと応援基金」については、財政運営安定化のため令和12年度までの事業費に充当して活用し、「ふるさと応援活用基金」については、一定の要件を満たした事業に充当して活用することで棲み分けを図った。令和4年度に定めたふるさと応援活用基金の事業実施計画により、令和5年度より計画的に取り崩し事業へ充当することから、基金残高は微増程度または横ばいで推移すると見込む。

公会計指標分析・財政指標組合せ分析表(2023年度)

有形固定資産減価償却率の分析欄

平成17年度の合併後、合併特例債を活用した新規施設の整備を行ってきたが、近年は新規の大型建設事業が無く、減価償却率は増加している。合併以前に建設された施設についても1980年から1994年までに建設された施設が多くあり、今後は長寿命化や集約化等などの適正管理に重点的に取り組んでいく必要がある。平成28年度に策定した公共施設等総合管理計画では、統合や廃止による施設の総量縮減の目標は計画期間の30年で15%としており、計画に則って整理を進め、縮減に努めたい。

債務償還比率の分析欄

大規模投資的事業が終了し、地方債の償還が進んでいることから、地方債残高は減少傾向にある。また令和5年度はふるさと納税の収入が令和4年度以上に増えており、充当可能財源が増加したことで前年度同様に比率が類似団体の平均値を下回ることとなった。しかし、今後大規模な建設事業を実施予定であることから、地方債の発行や残高には注視していく必要がある。

分析欄:将来負担比率及び有形固定資産減価償却率の組合せによる分析

将来負担比率は前年度から4.1ポイント減少した。これは地方債の償還が進んだことや、ふるさと納税の伸びにより基金への積み立てが増加したことによる負担額の減によるもの。有形固定資産減価償却率については、図書館、一般廃棄物処理施設、福祉施設、消防施設は合併特例債等を活用してこれまで整備を進めたため低い一方で、合併以前に建設され老朽化が進む施設が多くあるため、全体としては増加している。公共施設等総合管理計画に基づき、統廃合を検討し、公共施設の管理に努める必要がある。

分析欄:将来負担比率及び実質公債費比率の組合せによる分析

将来負担比率は前述の有形固定資産減価償却率との組合せによる分析で記載しているとおり、4.1ポイント減少し類似団体平均とほぼ同水準となった。実質公債費比率については地方債の償還が進んでいるものの、水道料金の高料金対策繰出や病院事業の建設改良費繰出により公営企業の準元利償還金算入額が増加したことから、前年度から0.2ポイント増加した。今後は合併特例債や災害復旧事業債などの算入率の高い地方債の償還が進んでいき、基準財政需要額への算入額が減少するため、地方債を使用する投資的経費を抑制する必要がある。

施設類型別ストック情報分析表①(2023年度)

道路

橋りょう・トンネル

公営住宅

港湾・漁港

認定こども園・幼稚園・保育所

学校施設

児童館

公民館

施設情報の分析欄

道路については類似団体と比較して一人当たり延長が長いことから有形固定資産減価償却率が高い傾向にある。橋りょう・トンネルについては当市の立地的に河川が多いことや山間部であることから有形固定資産減価償却率が高い傾向にある。学校施設については統廃合が進み、有形固定資産減価償却率は類似団体平均程度となっている。面積は類似団体より大幅に上回っており、子どもたちが活動を行うには十分な面積を確保していると考えられる。認定こども園・保育所については統廃合とともに施設を新設してきたが、施設数が多く償却率は年々増加していく。施設の統廃合を予定しているが、現状の施設を活用していく予定であり、償却率が大きく減少する見込みはない。公営住宅や公民館については取得日が古い建物が多いため、有形固定資産減価償却率が高く、統廃合や長寿命化などの施設の整理を重点的に検討する必要がある。

施設類型別ストック情報分析表②(2023年度)

図書館

体育館・プール

福祉施設

市民会館

一般廃棄物処理施設

保健センター・保健所

消防施設

庁舎

施設情報の分析欄

<有形固定資産減価償却率の低い施設>図書館、一般廃棄物処理施設、福祉施設、消防施設は、近年、合併特例債等を活用して整備を進めたため、有形固定資産減価償却率は低くなった。図書館は平成26年度、消防施設(本署等)は平成24年度の新設で、当市の公共施設の中でも特に有形固定資産減価償却率が低い施設となっている。一般廃棄物処理施設は、し尿等受入施設が平成30年度に供用開始し、廃棄物処理施設の更新事業も大規模投資的事業として予定しており、今後はさらに有形固定資産減価償却率は減少する予定である。福祉施設は、金額的比重の大きい養護老人ホーム魚沼荘の更新事業が平成28年度に完了したため、有形固定資産減価償却率は低くなっている。<有形固定資産減価償却率の高い施設>市民会館は平成元年に完成し、その後は機械設備等の改修を行っている。建物本体の有形固定資産減価償却率は約75%を超えており、全体の中でも大きなウェイトを占めている。市民会館は大規模なイベント・コンサートや市の確定申告相談会の会場として市民に広く認知され、公共施設の中でも重要な役割を担っており、当市内に類似の施設が無いため集約化・複合化が難しい。今後の更新については慎重に検討を進める必要がある。庁舎は、本庁舎、大和庁舎、塩沢庁舎の3つを設置、全て合併前の旧町の本庁舎(現本庁舎は旧六日町庁舎)を利用している。中でも最も新しく、昭和57年に設立された大和庁舎でも40年以上経過している。更新計画を進める必要があるが、市民の利便性を考慮するとこれ以上の統廃合は難しい。市民会館と同様に今後の更新については慎重に検討していく必要がある。

財務書類に関する情報①(2023年度)

資産合計

負債合計

1.資産・負債の状況

令和5年度の一般会計等においては、資産総額が令和4年度末から1,406百万円の減少(▲0.9%)となっている。これは減価償却等による有形固定資産の減少(▲7,184百万円)が、資産の取得等による有形固定資産の増加(5,237百万円)を上回ったことを示している。合併特例債を活用した大型の投資的事業は概ね完了しているため、今後の大規模な投資的事業が行われるまでは、減価償却を含めた有形固定資産の減少が増加を上回る予定である。償却が進んでいる資産は将来の維持管理・更新等の支出を伴うものであることから、公共施設等総合管理計画に基づき、集約化等に取り組み、適正管理を進める必要がある。また、全体会計を見ると負債の減少が▲3,756百万円と大きいが、これは企業債等の地方債償還が進んだことによるものである。

純経常行政コスト

純行政コスト

2.行政コストの状況

令和5年度の一般会計等において、経常費用は34,699百万円となり、前年度比1,878百万円の増加(5.7%)となった。経常費用の内訳として最も金額が大きいのは物件費(10,418百万円)で次いで補助金等(6,216百万円)であり、純行政コストの50.6%を占めている。全体では、一般会計等に比べて、水道料金等を使用料及び手数料に計上しているため、経常収益が7,474百万円多くなっている一方、国民健康保険や介護保険の負担金を補助金等に計上しているため、移転費用が8,026百万円多くなり、純行政コストは11,276百万円多くなっている。

本年度差額

本年度末純資産残高

本年度純資産変動額

3.純資産変動の状況

令和5年度の一般会計等においては、税収等の財源(33,114百万円)が純行政コスト(33,043百万円)を上回ったことから、対前年度の差額は71百万円となった。社会福祉法人や行政区への財産寄付・譲渡の結果無償所管換等による有形固定資産の大幅減により純資産残高は123,389百万円(前年度比▲158百万円)と減少した。前年度同様にふるさと納税の好調などで税収等は増加したものの、純行政コストの増加がそれを上回るものだったことや前述の無償所管替等の影響を受け、結果として純資産残高の減少に繋がった。全体では、国民健康保険特別会計、後期高齢者医療特別会計、介護保険特別会計の保険税や保険料が税収等に含まれることから、一般会計等と比べて税収等の財源が11,336百万円多くなっている。

業務活動収支

投資活動収支

財務活動収支

4.資金収支の状況

令和5年度の一般会計等においては、業務活動収支は4,153百万円であったが、投資活動収支については、▲2,909百万円であった。財務活動収支については、地方債の償還額が地方債発行収入を上回ったことから▲1,669百万円となっており、令和5年度末資金残高は前年度から425百万円減少し、2,104百万円となった。全体では、国民健康保険税や介護保険料が税収等収入に含まれていること、水道料金等の使用料及び手数料収入があることから、業務活動収支は一般会計等より2,022百万円多い6,175百万円となっている。

財務書類に関する情報②(2023年度)

①住民一人当たり資産額(万円)

②歳入額対資産比率(年)

③有形固定資産減価償却率(%)

1.資産の状況

①住民一人当たり資産額は類似団体平均額を上回っている。これは合併前に旧町毎に整備した施設があるため、保有する施設が非合併団体よりも多いことが考えられる。また、当市は隣接している町の事務の一部を受託しているため、当該の町に所在している財産の一部を所有していることも一因となっている。②歳入額対資産比率は資産合計の減少と基金取崩に起因する投資活動収入の増加により、対前年度比で▲0.29ポイントとなり、類似団体平均値並となっている。③有形固定資産減価償却率は類似団体平均値並となっている。図書館、一般廃棄物処理施設、福祉施設、消防施設については、近年、合併特例債等を活用して整備を進めたため、有形固定資産減価償却率は低くなっている。しかし、大型の投資的事業は概ね完了しているため、有形固定資産減価償却率は徐々に上昇する見込みである。今後は公共施設等総合管理計画に基づき、集約化等に取り組み、適正管理を進める必要がある。

④純資産比率(%)

⑤将来世代負担比率(%)

2.資産と負債の比率

④純資産比率は類似団体平均と比較し、年々徐々に差が広がりつつある。純資産変動計算書において税収等の財源が純行政コストを下回ったことや無償所管替等(寄付・譲渡)による有形固定資産の減少により純資産は減少したものの、当該の寄付・譲渡は継続的なものではないため影響は単年度に限るものである。純資産の増減は、将来世代が利用可能な資源の増減を意味する。今後純資産比率を増加させるためには、税収等の確保は必須となるが、普通交付税は合併特例債などの算入率が高い地方債の算入終了などにより、毎年歳入の縮減が行われることから、指標の改善は厳しく、財政規模に見合った事業の見直し等を図る必要がある。⑤将来世代負担比率を見ると、地方債の償還が進んだことで減少となっているが、今後大型の建設事業が実施予定であることから地方債の発行、残高には注視する必要がある。

⑥住民一人当たり行政コスト(万円)

3.行政コストの状況

⑥住民一人当たり行政コストは類似団体平均を上回り、更に差が広まった。類似団体平均と比べて上回っている理由としては、当市は屈指の豪雪地域であり物件費に含められる除雪費用が雪が少ない地域と比べて多いことが原因の一つだと考えられる。ただし、降雪は自然現象であり、除雪は市内経済にとっても冬の重要な要素である。不要なコストは削減に努めているが、降雪の状況によって毎年の大きく変動するとから、削減目標を設定するのは難しい。また、人口減少が進む中でも行政サービスは減ることはないため相対的に本数値は増加傾向にある。(令和2年度は新型コロナ対応により突出しているが、それ以外の年度は増加傾向にある)

⑦住民一人当たり負債額(万円)

⑧基礎的財政収支(百万円)

4.負債の状況

⑦住民一人当たり負債額は類似団体平均を下回っている。一般会計等に係る地方債の償還が進み地方債現在高が減少していることが主な要因であるが、今後大型建設事業を控えているため負債の状況には注視する必要がある。⑧業務・投資活動収支(基礎的財政収支)は、業務活動収支の黒字部分が投資活動収支の赤字分を上回ったため、2,463百万円となっているが、対前年度比でその差は大幅に縮小し約半減した。要因として、物件費等支出の増加(+1,089百万円)により業務活動収支が鈍化したことと、広域ごみ処理施設や統合給食センターや健診施設等の建設事業費として公共施設等整備費支出の増加(+1,014百万円)により投資活動収支が悪化したことが挙げられる。

⑨受益者負担比率(%)

5.受益者負担の状況

⑨受益者負担比率は、類似団体平均を上回っている状況にある。当市は隣接している町の事務の一部を受託しており、金額が大きいものを挙げると、ごみ処理業務受託事業、し尿及び生活雑排水汚泥処理業務受託事業、消防業務受託事業が経常収益のうち、その他の経常収益に計上されている。なお、令和2年度に大きく減少しているが、これは特別定額給付金事業の費用が、移転費用に計上されたことによるもので、影響は単年度のみである。

出典: 財政状況資料集, 統一的な基準による財務書類に関する情報,