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地方財政ダッシュボード

東京都国立市の財政状況(2019年度)

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収録データの年度

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総括表

人口の推移

財政比較分析表(2019年度)

財政力指数の分析欄

令和元年度の財政力指数は3か年平均で1.012、単年度では1.001となり、単年度数値が1を上回ったため、普通交付税不交付団体となった。社会福祉費や高齢者保健福祉費の増等により基準財政需要額は増となったが、市民税所得割や固定資産税の税収の増等により基準財政収入額も増となったことで、全体では基準財政収入額が基準財政需要額を上回る結果となった。類似団体平均より高い値になっているのは、市民の所得水準が高いこと等の理由により類似団体を上回る税収があることが主な要因である。しかし、東京都内の他の区市との均衡等もあり、求められるサービス水準は高く、財政力指数に反して財政は逼迫している。

経常収支比率の分析欄

経常収支比率は100.2%と昨年度より4.0ポイント悪化した。悪化した理由は、分母である歳入面では、前年度に比べ市税が増となったことや、幼保無償化に伴う地方特例交付金の増等により増となった一方、分子である歳出面では、退職手当や公債費の減などの減要素があったものの、保育所運営委託料や障害福祉サービス費、後期高齢者医療特別会計繰出金の増等があり増となった結果、経常収支比率は悪化する結果となった。類似団体平均と比べても財政構造の弾力性に乏しく、依然として財政の硬直化した状態が続いていることから、財政健全化に向けた取り組みを着実に実施し経常経費の削減を図る必要がある。

人口1人当たり人件費・物件費等決算額の分析欄

令和元年度は、全国平均、東京都平均ともに下回る121,174円となったが、類似団体平均を上回る結果となった。退職手当の減により人件費が減となった一方、プレミアム付商品券事業の実施や市議会議員選挙・参議院議員選挙実施に伴う選挙関連経費の増により物件費が増となったことで、数値自体は前年より上昇した。個別に見た場合、人口1人当たり物件費及び維持補修費は類似団体平均とほぼ同じか下回るのに対し、人件費は類似団体平均を上回っている。その他非常勤職員について、当市では会計年度任用職員がこれにあたるが、類似団体平均に対して非常に高い水準にある。この間、正規職員の定員管理には努めてきたが、非常勤職員の管理についても早急に検討・改善を図っていく必要がある。

ラスパイレス指数の分析欄

ラスパイレス指数が100を超えているが、平成24年度より東京都の給料表に移行し、これまでも東京都人事委員会勧告に基づき、給与水準の見直しを実施している。ただし、都表移行時に激変緩和措置として現給保障を実施したことや比較的若い職員の管理職登用等により、ラスパイレス指数が高くなる傾向にあるが、将来的には職員構成の変更により改善していくものと見込んでいる。

人口1,000人当たり職員数の分析欄

毎年度見直しを行っている定員管理計画に基づいて職員数を管理してきた結果、類似団体平均、東京都平均を下回る結果となっている。行政需要の増減に対応した柔軟な定員管理計画により、引き続き適正な水準を維持していく。

実質公債費比率の分析欄

令和元年度の実質公債費比率は-0.4%と前年度より0.4ポイント悪化した。新規の借入額より償還額が大きかったことによる地方債残高の減により元利償還金は減となった一方、制度上普通交付税で措置されるため控除される基準財政需要額算入公債費の減がそれを上回ったことなどにより、単年度ベースの指標が前年に比べ悪化したことから、3ヵ年平均も悪化した。また、国立駅周辺のまちづくりや、老朽化した公共施設の耐震化や建て替えなど、今後も多額の財政需要が見込まれている。適切に管理することを通じて、指数がこれ以上悪化しないようにしていく。

将来負担比率の分析欄

令和元年度は、前年度に引き続き0%となった。前年度に比べ地方債残高の減少などがあり将来負担額の減少があったことや、下水道債の償還が進んだことによる下水道事業特別会計における繰入金見込額の減、職員の入れ替えによる退職手当負担見込額の減などがあった一方で、財政調整基金等の取り崩しによる充当可能基金の減や、都市計画事業関連市債残高の減に伴う都市計画税充当可能額の減などにより、算定上の比率(マイナス値)は若干悪化傾向にある。今後も将来負担比率を算定する際の項目ごとに債務残高を適切に管理し、後世への負担を少しでも軽減するよう新規事業の実施等についても精査を行い、財政の健全化を図っていく。

経常経費分析表(経常収支比率の分析)(2019年度)

人件費の分析欄

比率は昨年度に比べ0.7ポイント下がったものの、類似団体平均との差はそれほど縮まらず、依然として類似団体平均・全国平均・都平均を上回る水準となっている。令和元年度は、退職手当の減や、共済組合費の減などが主な要因となっている。また、標準財政規模に対する人件費の比率の比較において、類似団体と比べてその他非常勤職員の報酬が占める割合が高く、この部分に対しての対処が喫緊の課題となっている。

物件費の分析欄

令和元年度は、前年度に比べて0.9ポイント高い17.7%となり、依然として類似団体平均よりも高い比率となっており、引き続き経費削減に努める必要がある。

扶助費の分析欄

類似団体平均と比べると、社会福祉費が著しく高く、老人福祉費・児童福祉費も高い位置にある。特に障害者自立支援費や保育所運営委託料が高い伸び率を示している。サービス水準の他市との均衡や子育て支援の社会的要請があり、今後も増加が見込まれる経費ではあるが、施策の成果向上を目指しつつ、経費を抑制していく必要がある。

その他の分析欄

特別会計に対する繰出金が、類似団体平均よりも高い値となっている。国民健康保険特別会計への赤字繰出や、過去の集中的な下水道整備に伴う下水道事業特別会計への公債費分の繰出金が大きく、ピークは越えたものの今後も高い水準での推移が見込まれている。資本費平準化債の活用により、繰出金の抑制を図っているが、独立採算の原則からも使用料の適正化を図り税収を主な財源とする一般財源の負担を減らしていかなければならない。

補助費等の分析欄

令和元年度は、前年度に比べて0.3ポイント高い9.1%となったが、類似団体平均や東京都平均を下回る状況にある。悪化理由としては、国・都支出金返納金の増などが挙げられる。各種補助金等に関しては、今後もそのあり方を常に問い直していく必要がある。

公債費の分析欄

令和元年度は臨時財政対策債を発行せず、また過去の市債の元利償還が進んだが、新たに借り入れた起債の償還が始まったため、公債費は9.7%と前年度に比べて0.3ポイント低下した。今後も適正な地方債残高の管理及び赤字地方債の発行に頼らない財政を目指さなくてはならない。

公債費以外の分析欄

公債費以外の経常収支比率は90.5%と類似団体平均に比べ高止まりをしている。公債費の占める割合自体が低いこともあるが、類似団体と比較する中で見えてくる国立市の特徴として、扶助費と繰出金に係る経常収支比率が高いことが挙げられる。扶助費の中でも社会福祉費が特に高い水準にあり、障害者福祉に係る経費が主な内容である。また繰出金については、下水道事業特別会計への公債費にかかる繰出金の高止まりや国民健康保険特別会計等への赤字繰出しが主な要因となっている。

目的別歳出決算分析表(住民一人当たりのコスト)(2019年度)

議会費

労働費

消防費

諸支出金

総務費

農林水産業費

教育費

前年度繰上充用金

民生費

商工費

災害復旧費

衛生費

土木費

公債費

目的別歳出の分析欄

・議会費は、住民一人当たり3,918円となっており、類似団体平均、全国平均、東京都平均のいずれも上回っている。市議会が取り組んでいる議会改革のさらなる推進に期待したい。・民生費は、住民一人当たり204,626円となっており、類似団体平均に比べ高止まりしている。民生費のうち大きな額を占める生活保護費は、平成30(2018)年10月の生活保護基準の改定により減となったが、しょうがい者数の増等により障害福祉サービス費が依然として伸びているほか、認可保育所の新設、認証保育所から認可保育園への移行による定員増といった待機児童解消のための事業費も増となったために、全体で増となった。・土木費は、住民一人当たり44,972円となっており、事業の進捗に伴って都市計画道路3・4・10号線用地買収費や国立駅南第2自転車駐車場の事業完了に伴う大幅な減により、全体で減となった。・教育費は、住民一人当たり40,106円となっており、類似団体平均や東京都平均を下回っている。総合体育館外壁等改修工事、芸術小ホール外壁等改修工事などの普通建設事業費の事業進捗に伴って、全体で減となった。

性質別歳出決算分析表(住民一人当たりのコスト)(2019年度)

人件費

補助費等

災害復旧事業費

投資及び出資金

物件費

普通建設事業費

失業対策事業費

貸付金

維持補修費

普通建設事業費(うち新規整備)

公債費

繰出金

普通建設事業費(うち更新整備)

積立金

前年度繰上充用金

性質別歳出の分析欄

・歳出決算総額は、住民一人当たり397,027円となっている。・主な構成項目である扶助費は、住民一人当たり126,425円となっており、年々右肩上がりで推移してきており、類似団体平均と比べて高い水準にある。主な要因として、生活保護費や児童福祉費の伸びに加えて国立市は、身体しょうがい者のうち、全国的に見ても重度者が多い自治体であり、障害者自立支援給付費の中では、訪問系サービスが最も大きな割合を占めており、そのうち重度者に対する訪問介護サービスである、重度訪問介護の額が大きな割合を占めている。人口に対する重度訪問介護支給決定者数は、多摩26市の中でもトップレベルに位置している。・繰出金は住民一人当たり49,390円となっており、類似団体及び東京都平均と比較して一人当たりコストが高い状況となっている。このうち、特に大きな要因である国民健康保険特別会計繰出金については、国民健康保険特別会計において、税率改定を行ったことにより税収増となった一方で、他保険へ移行による国民健康保険の被保険者の減少により医療給付費が減少し、結果として繰出金の大幅な削減につながったが、依然としてその水準は高いままとなっている。

実質収支比率等に係る経年分析(2019年度)

分析欄

平成20年度は実質単年度収支が赤字であったが、21年度からは実質単年度収支が黒字となり、平成22年度からは財政調整基金残高と実質収支額の合計が標準財政規模比で10%を超える水準となった。平成26年度は実質単年度収支が赤字となったが、これは臨時財政対策債の借入を行わず、財政調整基金を取り崩したことによるものである。令和元年度は、普通会計の単年度収支が減少したこと、基金の積立額より取崩額が上回ったことなどが影響し、数値はマイナスに転じた。財政調整基金残高、実質収支額には常に留意した財政運営を行っていく必要がある。

連結実質赤字比率に係る赤字・黒字の構成分析(2019年度)

分析欄

令和元年度はすべての特別会計が黒字であった。下水道事業特別会計と国民健康保険特別会計については、使用料・保険税で賄わなければならない部分を一般会計が赤字繰出しを行うことにより補てんしている状況にある。独立採算の原則からも使用料・保険税の適正化を実施し、税収を主な財源とする一般会計の負担を減らしていかなくてはならない。

実質公債費比率(分子)の構造(2019年度)

分析欄

元利償還金の推移を見ると、過去に借り入れた市債の償還が進んだことにより減少傾向にあったが、平成27年度に国立駅南口複合公共施設用地取得事業債を借入れ、その償還が開始されたため平成28年度から増加に転じた。今後も、公共施設の更新等で多額の起債が見込まれるため、元利償還金の推移については適正に管理を図る必要がある。また、下水道事業特別会計において資本費平準化債を借入れたことで、一般会計からの繰出金が減少したことや、多摩川衛生組合等の一部事務組合の起債の償還が進んでいることから、準元利償還金も長期的に見ると減少傾向にある。交付税算入公債費等については、公害防止事業債等の償還が進んでいることから近年は減少傾向にある。

将来負担比率(分子)の構造(2019年度)

分析欄

一般会計等に係る地方債の現在高は、減少傾向にある。しかし、今後も国立駅周辺のまちづくりや老朽化した公共施設の耐震化や建て替えなどの大規模事業のために多額の起債が必要となってくるため、適正に管理していかなくてはならない。退職手当負担見込額は、年齢・給料の高い職員が退職し、若い職員が入職することによる職員の入れ替えが今後も続くことが見込まれるため減少傾向にある。充当可能財源等は、過去の市債の償還が進む一方で、臨時財政対策債の借入れを近年行っていないことから、基準財政需要額算入見込額は減少傾向にある。

基金残高に係る経年分析(2019年度)

基金全体

(増減理由)旧国立駅舎再築のため、「国立駅周辺整備基金」から1億2,465万円を取り崩したほか、財政調整基金において積立額より取崩額が上回ったことなどにより、全体として1億9,435万円の減となった。(今後の方針)老朽化した公共施設の耐震化や建て替えなど、今後見込まれる多額の財政需要に耐えうる財政運営のため、財政調整基金及び特定目的基金ともに適切な管理に努めていく。

財政調整基金

(増減理由)積立額よりも取崩額が上回ったため、残高は減少した。(今後の方針)現段階では財政調整基金の残高について具体的な目標額や運用指針を定めていないが、短期的にも中長期的にも適切な規模について見定めていく必要がある。

減債基金

(増減理由)(今後の方針)

その他特定目的基金

(基金の使途)・公共施設整備基金:老朽化した公共施設の保全や更新の財源として活用していく・国立駅周辺整備基金:旧国立駅舎再築をはじめとする国立駅周辺の整備を行っていく・くにたち未来基金:市への寄附金を適正に管理し、寄附者の意向に沿って市政運営に活用していく(増減理由)・公共施設整備基金:多摩川衛生組合過年度清算金を積み立てたことによる増・国立駅周辺整備基金:旧国立駅舎再築工事に充当するため取崩したことによる減・道路及び水路の整備基金:都市計画道路用地買収の代替地として売却した土地に係る収入を積み立てたことによる増(今後の方針)・大規模事業等の実施にあわせ、将来負担を減らすために各種基金について積極的に活用を図っていく

公会計指標分析・財政指標組合せ分析表(2019年度)

有形固定資産減価償却率の分析欄

令和元年度の有形固定資産減価償却率は、64.9%と類似団体平均に比べて高く、公共施設の老朽化が進んだ状態にあると言える。

債務償還比率の分析欄

令和元年度の債務償還比率は、380.6%と類似団体平均に比べて低いが、昨年度に比べ悪化していることなどを踏まえると、中長期的には将来負担額が増えていく可能性もあり、基金の積み立てなどを考慮していく必要がある。

分析欄:将来負担比率及び有形固定資産減価償却率の組合せによる分析

令和元年度の数値について、類似団体平均との比較を行うと、将来負担比率は低く(算定上数値が存在しない)、一方で有形固定資産減価償却率は高い状態となっている。このことから、更新を必要とする資産が多くあるが、将来負担の観点からはまだ若干の余力があると言えるため、計画的な更新を推進していく必要がある。

分析欄:将来負担比率及び実質公債費比率の組合せによる分析

平成25年度以降、将来負担比率は算定上数値が存在せず、実質公債費比率はマイナスの数値を推移している。類似団体平均の数値と比較すると、両比率とも健全な状態にあると言えるが、実質公債費比率は悪化傾向にある。当市の今後を見据えると、多くの公共施設が老朽化し、また新規の投資事業を行っていく必要もあることから将来の公債費の増加が見込まれるため、両比率とも現在の水準を維持できるような財政運営に留意していかなければならない。

施設類型別ストック情報分析表①(2019年度)

道路

橋りょう・トンネル

公営住宅

港湾・漁港

認定こども園・幼稚園・保育所

学校施設

児童館

公民館

施設情報の分析欄

令和元年度決算において、いずれの施設も類似団体平均に比べて有形固定資産減価償却率は高く、一人当たり規模は小さくなっている。有形固定資産減価償却率が非常に高い状態であることから、施設の大部分が老朽化し、更新の時期を迎えていることがわかる。

施設類型別ストック情報分析表②(2019年度)

図書館

体育館・プール

福祉施設

市民会館

一般廃棄物処理施設

保健センター・保健所

消防施設

庁舎

施設情報の分析欄

令和元年度決算において、類似団体の数値と比較すると、消防施設を除く施設について有形固定資産減価償却率が高く、福祉施設を除く施設について一人当たり規模が小さくなっている。中でも、図書館についての有形固定資産減価償却率が非常に高く、86.5%となっていることから、図書館施設が老朽化し、更新の時期を迎えていることがわかる。

財務書類に関する情報①(2019年度)

資産合計

負債合計

1.資産・負債の状況

令和元年度末時点での一般会計の資産総額は995.1億円(前年比+0.4億円)、負債総額は168.6億円(前年比△5.9億円)、資産総額から負債を差し引いた純資産は826.5億円(前年比+6.3億円)である。資産のうち、事業用資産の建物が55.1億円であり、前年に比べ4.2億円増と大きく増加している。これは、旧国立駅舎再築の完成(+3.3億円)、国立第六小学校非構造部材耐震化工事の完成(+2.4億円)などによるものである。一方、負債のうち1年超の地方債は115.2億円(前年度比△6.0億円)、1年以内償還予定の地方債は15.6億円(前年度比+0.8億円)の合計130.8億円(前年度比△5.2億円)となり、昨年度に続き償還が進んでいる。全体会計においては、資産・負債の状況はほぼ前年と変動がなかった。連結会計については、令和元年度から社会福祉法人くにたち子どもの夢・未来事業団が連結対象に加わっている。

純経常行政コスト

純行政コスト

2.行政コストの状況

令和元年度一般会計等の経常費用は276.5億円(前年比+6.9億円)、経常収益は11.6億円(前年比+0.1億円)である。経常費用の内訳は、人件費51.5億円(前年比+0.2億円)、物件費等83.2億円(前年比+4.5億円)、その他の業務費用6.0億円(前年比+0.9億円)、移転費用135.9億円(前年比+1.4億円)となっており、新規事業の展開及び既存事業の拡充等により、昨年度同様、全体的に費用増となっている。待機児童対策として保育所2か所が新設となり、物件費にあたる保育所運営委託料が前年比+3.3億円であるほか、障害福祉サービス費などの社会保障給付費も前年比+0.6億円となった。維持補修費は2.6億円(前年比△1.5億円)となっている。減少の要因として、平成30年度は市民芸術小ホール・総合体育館の外壁改修工事を行ったが、令和元年度の外壁改修は地域防災センターなど比較的小規模な施設を対象としていたことがあげられる。全体会計については介護保険特別会計の補助金の増加(前年比+2.6億円)、連結会計については東京都後期高齢者医療広域連合の補助金の増加(前年比+2.0億円)が大きく純経常行政コストの増加に影響している

本年度差額

本年度末純資産残高

本年度純資産変動額

3.純資産変動の状況

令和元年度一般会計等の財源は、270.2億円(前年比△3.2億円)である。その内訳は、税収等174.1億円(前年比+0.1億円)、国県等補助金95.6億円(前年比△3.3億円)となっている。ままた、純行政コストは266.1億円(前年比+6.4億円)であることから、本年度差額4.1億円(前年比△9.6億円)、本年度純資産変動額6.3億円(前年比△7.4億円)、そして、本年度末純資産残高は826.5億円(前年比+6.3億円)となっている「税収等のうち、地方税は前年比+0.6億円であり、個人市民税は減少したが(前年比△0.4億円)、法人市民税(前年比+0.4億円)、純固定資産税(+0.2億円)は増加した。また、幼児教育・保育無償化により、保育所運営費利用者負担金が減少(前年比△0.7億円)する一方子ども・子育て支援臨時交付金が1.0億円皆増となっている。国県等補助金は、大規模な工事案件は少なく、資本的補助金(投資)に分類されるものが前年比△6.1億円となっている一方、子どものための教育・保育給付費負担金やプレミアム商品券事業関係の補助金等により、経常的補助金は前年比+2.8億円となっている。

業務活動収支

投資活動収支

財務活動収支

4.資金収支の状況

業務活動収支のうち、前年と比較して支出増となった主なものは、物件費等支出が前年比+4.5億円、移転費用が前年比+1.4億円である。一方、収入は国県等補助金収入(業務)が前年比+6.1億円と増加している。よって、昨年度と比較して業務活動収支のプラス幅が拡大している。投資活動収支については、大規模な案件が前年度に比較して少なかったため、公共施設等整備費支出が前年比△8.9億円となっている。前年度に道路用地取得の支出が大きかったが、今年度は少なかった。収入に関しても国県等補助金収入(投資)が前年比△9.8億円であるほか、資産売却収入も前年比△4.1億円となっている。収入も支出も下がっているが、差をとるとマイナス幅が拡大している。財務活動収支のうち、地方債償還支出は前年比△0.2億円と、ほぼ前年度同水準である。地方債発行収入に関しては、教育債や消防債が減少し前年比1.4億円となっている。収入が減少し支出が同水準であることから、マイナス幅が拡大している。

財務書類に関する情報②(2019年度)

①住民一人当たり資産額(万円)

②歳入額対資産比率(年)

③有形固定資産減価償却率(%)

1.資産の状況

国立市の住民一人当たり資産額及び歳入額対資産比率は、いずれも類似団体平均値を下回っている。これは、他団体と比較して過去に形成した資産規模が小さいためと考えられる。一方、有形固定資産原価償却率は類似団体平均値を上回っている。道路などのインフラ関連施設は計画的に改修工事を行い、都度、一部除却の数値を反映させていることから、59.2%と相対的に低い水準となっている。しかしながら、学校などの教育関連施設は70.4%、ごみ処理施設公園などの環境衛生関連は84.8%ととりわけ高い数値となっている今後、教育関連施設に関しては、大規模な改修や建替工事を予定している。また、環境衛生関連に関しては、多くの施設や機器類は耐用年数を迎えつつあり、老朽取替が必要な状況下にある。そのため、基金の運用管理を含め、これまで以上に中長期的な視点で計画を整備・策定していく必要がある。

④純資産比率(%)

⑤将来世代負担比率(%)

2.資産と負債の比率

国立市の純資産比率は、類似団体平均値よりも高い水準にある。一方、将来世代負担比率は、類似団体平均値よりも低い水準にある。これは資産の多くが現役世代の負担で形成されていると読み取ることができる。今後、教育関連施設の改修や建替工事のほか、道路改良工事など規模が大きく、費用も掛かる案件が複数控えている。それらの財源確保に関しては起債に頼るほか、各種基金を財源として充当するとになる。よって、引き続き、将来世代負担比率に代表されるような資産と負債のバランスを図り、世代間の公平性をみることができる指標を活使用していきたい。

⑥住民一人当たり行政コスト(万円)

3.行政コストの状況

国立市の住民一人当たり行政コストは、3年間で2.7万円増加しているが、類似団体平均値では3年間で1.9万円増加である。類似団体よりも増加幅は若干大きい。主な要因としては、年々増額している扶助費が挙げられる。特に待機児童対策として注力してきた結果、保育所運営委託料の増加が顕著になっている。また、重度しょうがい者の在宅生活にかかわる訪問介護サービスやしょうがい児の発達支援の需要の増加から、障害福祉サービス費の増加が続いている。引き続き、行政コストの内訳を分類し、他団体と比較するなど多面的且つ多角的に、市の立ち位置を把握できるように努めていきたい。

⑦住民一人当たり負債額(万円)

⑧基礎的財政収支(百万円)

4.負債の状況

国立市の住民一人当たり負債額は、いずれの年度も類似団体平均値と比較して5割~6割程度の低水準である。また、負債額単体の数値に着目した場合の対前年の伸長率は、H30-H29:△3.3%、R元-H30:△3.5%と減少傾向にある。これは、「1.資産の状況」「2.資産と負債の比率」でふれたことに加えて、健全な財政運営を意識してきたためといえる。投資活動収支は平成30年までの都市計画道路の事業用地取得などが一段落し公共施設等整備費支出が大きく減少(前年比△8.9億円)、公共施設等整備に係る国県等補助金収入(投資)も大きく減少(前年比△9.8億円)することになった結果、マイナス幅が拡大した。その結果として、基礎的財政収支に関しては、令和元年度は前年と比べてプラス幅が小さくなっている。今後、老朽化対策のため投資活動支出が拡大し負債が拡大する一方、税収に関しては今後の人口や景気の動向によって減少する可能性があり、基礎的財政収支のプラス幅の縮小を招く可能性もあることから留意する必要がある。

⑨受益者負担比率(%)

5.受益者負担の状況

国立市の受益者負担比率は、類似団体平均値と同水準で推移しているが、国立市単体で経年比較を行うと、前年より0.1ポイントとほぼ同水準で経過している。経常費用は前年比2.6%増加した。保育所運営委託料の増加(前年比+3.3億円)など物件費等の増加(前年比+4.6億円)が大きい。経常収益は、前年比+0.8%の微増となっている。平成30年度に自転車駐車場のリニューアル工事での部分休業した分での減収が、令和元年度はなかったため、自転車駐車場使用料が増加(前年比+6百万円)している。今後経常費用の増加傾向が続く一方、使用料手数料などは感染症等による施設稼働率低下による収入減など不安定要因を抱えている。このことから、費用の削減に努める必要がある。

出典: 財政状況資料集, 統一的な基準による財務書類に関する情報,