経営の健全性・効率性について
本事業は平成29年4月1日に地方公営企業法を全部適用し、初めての公営企業会計方式での決算となります。法適用以前は良好な経営状況でありましたが、法適用直前の平成28年度途中から大口需要者の排水量が大きく減少したことによる収益不足の影響を主要因として、平成29年度決算において50,258千円の純損失を計上しております。これに関連して、「①経常収支比率」「⑤経費回収率」の指標値が100を割り込んでいる状況です。欠損金は処分せずに繰越欠損金としたことから、「②累積欠損金比率」にも値が計上されております。一方、「⑥汚水処理原価」については89.29円と、類似団体平均177.15円及び全国平均136.39円と比較して大幅に小さい値となっていること、また、水洗化率が97.09%と高い水準にあることから、効率的事業経営が図られているものと考えます。また、「④企業債残高対事業規模比率」については、類似団体平均及び全国平均と比べて低い状況となっていますが、流域下水道建設負担金に係る企業債残高が年々増加傾向にある状況です。今後、公共下水道の施設更新も控えており、経営の硬直化を防ぐため、投資の平準化と企業債発行の抑制を検討してまいります。現在策定中の経営戦略を踏まえ、使用料の改定を含めた経営状況の改善や計画的な投資など、健全な事業経営に取り組んでまいります。
老朽化の状況について
北谷町においては法定耐用年数である50年を超過した管渠は無いものの、敷設後30年を経過した管渠を対象に下水道長寿命化計画を策定し、平成26年度から工事に着手しております。「③管渠改善率」0.95%は類似団体及び全国平均に比して高い値となっておりますが、管渠の耐用年数(50年)を考慮すると、決して十分な改善率ではないと認識しております。今後、ストックマネジメント計画を策定し、計画的な施設の更新に努めてまいります。
全体総括
費用の効率性や老朽化対策については類似団体平均や全国平均に比して概ね良好な状況であると考えます。一方で、平成28年度途中から大口需要者の排水量が大きく減少したことによる収益不足が喫緊の課題となっており、適切な使用料設定への見直しが求められます。現在策定中の経営戦略や今後策定するストックマネジメント計画を踏まえ、より健全で効率的な経営の実現と計画的な施設の更新に取り組んでまいります。