経営の健全性・効率性について
本町における簡易水道事業の経営の健全性については、収益的収支比率から一般会計からの操出金が大きな割合を占めており、加えて起債への依存度も高い現状にある。企業債残高はわずかながら減ってきてはいるものの、更なる経営改善を図っていく必要がある。料金回収率についても、現年分に加え滞納分料金の回収も行っているが、それでも70%前後と低く、操出金により収入不足を補填している状況にある。本町簡易水道においては、給水原価から水道料金が決まっておらず、近隣市町村の状況を勘案しながら決定している状況にあり、健全経営のためには、更なる投資の効率化や維持管理費用の削減といった経営改善が必須である。本町は、小規模の簡易水道14、飲料水供給施設1を有しており、事業規模は最大で現在給水人口3,867人で、最小では15人である。このため、一部施設を除き、需要密度が低く、給水区域も広いことから、施設利用率は60%前後と悪い。有収率についても、地形的条件並びに管路の老朽化から70%前後と低い傾向にある。
老朽化の状況について
本町は、離島という地理的条件から、集落が点在している。このため、給水区域が広く、必然的に管路延長も長くなっている。管路の更新については、計画的に実施している状況ではあるが、予算にも限度があり思うように進捗していないため、老朽化が著しい。平成29年度には、簡易水道会計から上水道会計への移行がなされるが、移行後は国庫補助事業の要件が厳しくなり、また、交付税措置の有利な起債の借入れができなくなるため、更なる投資経費の制限が見込まれ、老朽化が一層進むことが予想される。
全体総括
水道事業の経営改善に向けて、料金回収率を上げると共に維持管理の見直しによるコスト削減と、漏水調査に基づく有収率の向上を目指す。また、管路の計画的な更新を行い、老朽化対策を図る。平成29年度には、簡易水道会計から上水道会計への移行がなされるため、独立採算制を原則とした更なる経営改善を実施する必要がある。