経営の健全性・効率性について
平成10年に事業着手、平成18年10月から供用開始し、下水道普及率は33.36%(前年度比1.8%増)と整備を進めていますが、未だ整備途上の段階にあります。①収益的収支比率は、昨年度に比べ若干の改善が見られますが、整備段階で使用料収入が脆弱であること、流域下水道における維持管理負担金単価が高い状況にあること、整備開始当初の大規模事業時の起債の償還が続いていること等から、収支比率は低い状況にあります。④企業債残高対事業規模比率(使用料収入に対する企業債残高の割合を示す)は、類似団体平均よりも低く推移し、年々減少傾向にあることから、建設投資規模としては概ね適切であると判断されます。⑤経費回収率(汚水処理費用をどの程度使用料で賄えているか)は、供用開始後日が浅い中、接続率も低く使用料収入が少ない現段階では、前年度から微増ながら類似団体平均より低く推移しています。⑥汚水処理原価(有収水量1㎥あたりの処理費用)も、整備段階で汚水流入量が少ないため、流域下水道によるスケールメリットが十分に生かされておらず、類似団体平均よりも高い状況にあります。⑧水洗化率(処理区域内人口のうち、水洗便所設置済人口の割合)は、類似団体とほぼ同水準で推移しています。整備途上の段階にあるため、汚水排出量が少なく、使用料収入も脆弱で、一般会計からの多額の基準外繰入金に依存し、費用単価も高い現状としては、経営の健全性、効率性は共に低い状況です。
老朽化の状況について
矢部川流域関連公共下水道として、処理場等の施設は保有していません。管渠やマンホールポンプについては、事業開始から20年程度経過の現段階では深刻な老朽化の状況にはなく、構造的にも問題はないため、特段の対応は予定しておりませんが、今後は維持管理における適正な点検や整備を行いながら、将来的に増加が見込まれる更新費に備え、ストックマネジメント導入により、維持、修繕の計画的、効率的な運用に努めていかなければなりません。
全体総括
当面は老朽化対策は必要なく、今後も引き続き建設投資と地方費の償還に多額の費用を要することとなるため、世代間負担の平準化に配慮した投資と財源の計画的運用が重要となります。整備にあたっては、整備効率の高い地区を検証しながら計画実施していくと同時に、供用開始区域における接続促進を図り、接続率を上げ使用料収入を増加させる必要があります。そうする中で、流域下水道における汚水流入量が増加し、維持管理負担金単価の低減が図られ、費用抑制にも結び付けていくことが可能となります。課題となる接続率の向上に対し、地元説明会の開催や戸別訪問、各種イベントへの参加等により、補助金や融資制度の周知も行いながら、下水道事業への住民の方々の理解を広める取り組みを積極的に実施していく必要があります。