経営の健全性・効率性について
本市の公共下水道事業は、平成10年度に事業に着手し、平成18年10月から順次供用を開始しており、現在も整備途上の段階にある。①収益的収支比率及び④企業債残高対事業規模比率は、いずれも徐々に改善傾向にある。整備区域の拡大による普及率の上昇、接続数の増加に伴い、料金収入は年々着実に増加(前年度比6%)しているが、一方で、地方債償還金の増加(前年度比7%)により、依然として他会計繰入金への依存度が高い状況にある。⑤経費回収率及び⑥汚水処理原価は、ともに平均値には大きく及ばない状況であるが、やや改善傾向にある。供用開始後10年目と日も浅く現在も整備途上にあるため、有収水量がまだまだ十分とは言えず維持管理費が割高になっているものと考えられる。⑧水洗化率は、平均値を上回っており堅調に推移している。しかし、整備途上であるため、毎年拡大する新たな供用開始区域の接続状況により、経年で見ると僅かながら低下する場合も見られるため、早期の接続促進を図ることが重要である。
老朽化の状況について
本市の公共下水道事業は、平成10年度に着手し、翌年度から整備開始のため、法定耐用年数(50年)を経過した管渠は保有していない。しかし、現在も整備を進めており、今後も施設が増加するため、施設全体の安全性や耐久性を把握したうえで、計画的かつ効率的な維持管理に努めることが必要である。
全体総括
下水道事業の性質上、先行投資となる資本費の負担が大きいが、その財源となる料金収入は年々着実に増加しているものの、現段階では、まだまだ十分とは言えず、料金収入以外に多くを依存しており、経営としては厳しい状況にある。将来にわたって安定的に事業継続が可能となるように、中長期的な経営の基本計画である経営戦略の策定を進め、資本費の増加に配慮しながらも計画的・効率的な整備区域の拡大を図っていく。また、供用開始時の地元説明会、戸別訪問等を通じて、下水道事業への住民理解を深め、同時に接続助成制度の周知により、早期の接続促進に取り組み、料金収入の増加に繋げていくことが重要である。また、有収水量の増加により、汚水処理原価の低減及び経費回収率の改善を図りながら健全経営に努める。