経営の健全性・効率性について
①経常収支比率経常収支比率は100%を上回っているが、一般会計からの繰入金等の使用料以外の収入に依存しているため、経費の節減に努めるとともに、管渠整備や水洗化の促進を図り、使用料収入を増やす必要がある。なお、企業債償還額の増加に伴う一般会計からの繰入金の増加等により、前年度比で4.45ポイント上昇した。③流動比率流動比率は100%を下回っているが、流動負債の大部分は一年以内に償還期限が到来する企業債元金であり、短期的には一般会計からの繰入金を原資とした償還が可能であることに加え、将来的には下水道使用料を原資した償還が可能であることから、支払能力の不足は生じていないと考える。④企業債残高対事業規模比率建設改良事業の平準化を図り、企業債の借入額を抑制していることに加え、過去に借入れた企業債の償還が進展していることから、前年度比で82.04ポイント改善し、類似団体平均値を下回った。⑤経費回収率⑥汚水処理原価下水道普及率が低く、有収水量が少ないこと、単独処理場を2施設有していること等により、多額の汚水処理費を要することが経費回収率の低さと汚水処理原価の高さの要因である。管渠整備と水洗化の促進による有収水量の増加、ストックマネジメント計画に基づく維持管理費の適正化、建設改良事業の平準化による公債費の抑制等により改善に図りたい。⑦施設利用率資料で使用されている「晴天時一日平均処理量」には流域公共下水道事業分が含まれるため、100%を超えた数値となっている。単独公共下水道事業分のみの場合は、42.1%となる。⑧水洗化率本市は整備途上の下水道事業であり、毎年新たな管渠整備によって供用開始区域内人口が増加することから、水洗化率の安定的な上昇を見込むことができないが、このような状況の中で未水洗化世帯への啓発活動等により水洗化率の向上に努めており、前年度比で0.18ポイント改善した。
老朽化の状況について
①有形固定資産減価償却率本市は令和2年度からの公営企業会計移行に伴い、有形固定資産の減価償却を開始したことから、類似団体の平均値より低い数値となっている。②管渠老朽化率③管渠改善率法定耐用年数に達した管渠がないことから、0%となっている。今後、昭和50年代の住宅開発によって整備された管渠や、処理場の施設更新が必要となってくることから、ストックマネジメント計画を作成し、施設の長寿命化と施設更新費の削減を図る。
全体総括
本市下水道事業は、下水道普及率が72.2%と整備途上であることに加え、高度処理を行う単独処理場を2施設有していることから、類似団体と比べて高い水準の汚水処理原価となっているが、それを賄う下水道使用料が十分でないことから、経費回収率が低く、一般会計からの繰入金に依存した経営状況であるといえる。このような状況の中で、将来にわたって安定した経営を持続するため、令和2年度に経営戦略を策定した。今後は経営戦略に基づき、経営健全化の取り組みを行うことで、財政マネジメントの向上を図っていきたい。