経営の健全性・効率性について
①経常収支比率は、令和3年1月の水道料金の減額改定等により給水収益は減少したものの、営業費用の減少もあり、当指標は100%を上回っている。類似団体と比較しても高い水準である。②累積欠損金比率は0%と、累積欠損金は発生していないことがわかる。③流動比率は、100%を上回り、短期的な支払い能力に支障はない。④企業債残高対給水収益比率は、年々減少傾向にある中、令和2年度では、給水収益の減少により、増加に転じている。類似団体との比較では低い水準である。⑤料金回収率は、給水収益の減少に伴い低下しているものの、100%を上回っている。類似団体と比較しても高い水準であり、経営に必要な経費を給水収益で賄うことが出来ている。⑥給水原価は、受水費等の減少により、前年度より減少している。類似団体との比較では低い水準である。⑦施設利用率は、年々減少傾向にあり、また類似団体と比較しても低い水準である。水需要の減少に伴う配水量の減少により、余剰資産が増加しているためと考えられる。⑧有収率は、約95%の数値を保っており、類似団体との比較では高い水準である。水道施設の稼働状況が収益に繋がっており、収益の対象とならない漏水等が少ないことがわかる。以上の状況から、健全かつ効率的な経営状況であるといえる。
老朽化の状況について
門真市は高度経済成長期の急激に発展していく都市に必要な水需要に即応させるため、集中的に水道施設の整備を行ったことにより、大半の資産において更新の時期を迎えている状況である。そのため、有形固定資産減価償却率及び管路経年化率については、年々増加し類似団体と比較しても上回っており、法定耐用年数を超過した資産の保有状況は増加傾向にあることがわかる。管路更新率は年1.04%となり、これは本市の耐震化計画に掲げる更新率年1%を上回り、また、類似団体平均値と比較すると高い水準である。以上の状況から、施設利用率等が示すとおり、人口減少に伴う水需要の減少により、施設規模が過大となっていることに対し、施設利用率等の目標を設定したうえで、徹底した施設規模の適正化(ダウンサイジング)が必要である。
全体総括
水需要の減少により給水収益が減少する中、健全かつ良好な経営状況である要因としては、施設更新の投資費用を企業債の借入れに依存することなく、可能な限り自己財源により賄ってきたことが大きな要因である。しかし、法定耐用年数を超えた資産が増加し、施設の老朽化、特に管路の老朽化が進む一方で、今後必要となる多額の更新事業への投資は健全な事業運営にとって厳しい影響を与えることが予想される。そのような厳しい状況に対応し、安定的な事業運営を行うため、令和3年度では平成28年度に策定した門真市水道事業ビジョン(経営戦略)の中間見直しを実施し、実情に沿った計画へと改訂することで、ビジョンに掲げる施策を確実に進めていくとともに、老朽化の進む資産についても、耐震化計画に基づき、適正な施設規模を考慮した効率的な施設更新を行っていく。