経営の健全性・効率性について
収益性について、令和3年度の①経常収支比率は2.54ポイント減となり、類似団体平均値を下回ったものの100%を超える値を維持したが、⑤経費回収率は令和3年度に実施した新型コロナウイルス感染症対策の一環としての下水道使用料の減免事業、及び大口使用者の使用水量の減少による影響で使用料収入が減少し、類似団体平均値を下回り、値も100%を下回る結果となった。⑥汚水処理原価は類似団体平均値を大きく下回っている。④企業債残高対事業規模比率は、平成29~令和3年度を通して、類似団体平均値を大きく下回っている。財政状態について、③流動比率は100%を大きく上回っていることから、1年以内に支払うべき債務に対して支払うことができる現金等を十分に保有している状況であると言える。また、⑧水洗化率は97.83%であり、概ね100%を達成している。このように類似団体と比較して、概ね数値が良好なのは、流域下水道の処理費用が安価なこと、平成26年1月に下水道使用料の改定(平均改定率20.5%)を行ったことが要因と考えられる。※⑦施設利用率に数値が記載されていない理由は、単体で終末処理場を保有せず、すべての処理を流域下水道で行っているためである。
老朽化の状況について
①有形固定資産減価償却率は平成26年度のみなし償却制度の廃止以降、微増傾向である。類似団体平均値と比べ高くなっているが、これは下水道の早期整備により、法定耐用年数に近い資産が増加しているためである。供用開始年度が昭和54年度であるため、法定耐用年数を経過した管渠は存在せず、②管渠老化率は0%で、③管渠改善率は1.2%と低い値であった。
全体総括
汚水処理原価については、令和3年度も類似団体平均値を大きく下回ることができた。これは流域下水道で汚水処理を行うことによって投資の効率化が図られた結果であると言える。また、経常収支比率は類似団体平均値を1.67ポイント下回ったものの100%を超えており、単年度の収支は黒字を確保できている。これらの状況を踏まえ、平成29年度に策定した経営戦略を令和4年度に改定し、将来を見据えた効率的な事業運営を行っていく。