経営の健全性・効率性について
①収益的収支比率は、料金収入や繰入金等の収益で、維持管理費や支払利息等の費用をどの程度賄えているかを示す指標で、100%以上であれば単年度収支が黒字であることを表します。地方公営企業法を適用した平成27年度の当該指標は103.19%で事業は安定しています。しかしながら、営業外収益である繰入金の割合も35%を超えており、一般会計からの繰入金に頼った経営となっています。③流動比率は、1年以内に支払うべき債務に対する支払能力を表す指標で、一般的には100%以上を求められています。本市の指標は100%を超えており、短期的な債務の支払いについては問題ありません。⑤経費回収率は、使用料で回収すべき処理費用を使用料でどの程度賄えているかを示す指標で、100%以上であれば、使用料収入で処理費用を回収できているといえます。本市の場合、類似団体と比較して高いものの、100%には達しておらず、不足分については、一般会計からの繰入金により補っている状況です。⑥汚水処理原価は、有収水量1㎥あたりの汚水処理に要した費用であり、汚水処理に係るコストを表したものです。この指標が低いほど、効率的な処理ができていると考えられます。本市の汚水処理原価は、類似団体と比較して100円以上も低く、使用者の負担も軽いといえます。⑧水洗化率は、現在処理区域内人口のうち水洗便所を設置して汚水処理している人口の割合を表した指標で、類似団体と比較してやや高いものの、74%に留まっています。下水道の目的である公共用水域の水質保全は勿論のこと、経営の根幹を成す使用料収入へも影響することから、今後も普及促進に努める必要があります。
老朽化の状況について
①有形固定資産減価償却率は、有形固定資産のうち償却対象資産の減価償却がどの程度進んでいるかを指す指標で、資産の老朽化度合を示しています。本市の指標は2.4%と低く老朽化については問題ありません。また、本市には、法定耐用年数を超えるような管渠は存在しないため、②管渠老朽化率及び③管渠改善率は0%です。しかしながら、平成6年度の建設開始から20年以上経過しており、マンホールポンプ等の施設については更新時期を迎えつつあります。改善更新は今後の大きな課題であることから、新設と更新とのバランスを図りながら計画的に事業を進めていく必要があります。
全体総括
本市の場合、いずれの指標も類似団体と比較して良い数値を示していますが、整備途上であることから、十分な使用料収入が見込めず、一般会計からの繰入金に依存した経営となっており、経営基盤の強化が早急かつ大きな課題となっています。健全かつ持続可能な公共下道事業を進めるため、今後も使用料等の収益の確保並びに事業の効率的な整備や適切な維持管理を行い、経営の健全化に努めていきます。なお、平成27年度より地方公営企業法を適用したため、平成26年度以前の数値は入っていません。