経営の健全性・効率性について
収益的収支比率が86.94%と100%を下回り、経費回収率が70.87%で、全国平均83.00%を12.13%下回り、汚水処理原価が234.45円で、全国平均193.74円を40.71円上回っているが、これは、当事業が法非適用であるため、減価償却費が算定されず、起債償還額が費用計上されているためである。なお、下水道事業資産の平均耐用年数45年(当市においての実質平均耐用年数は46.2年)に対し、起債は1年据置期間を含めて26年で償還している。さらに、企業債残高対事業規模比率が1,107.01%と全国平均の1,010.61%を上回っている。これらは、平成4年度から平成13年度にかけて集中的に管渠布設工事を実施し、多額の起債をしており、その起債償還がピークを迎えていることを原因としている。当市において平成29年度から法適用を予定しているが、法適用することで、減価償却費を算定するなど、適正な費用の把握を行い、それに基づく適正な料金算定を実施することが重要となる。
老朽化の状況について
既存の大型団地接続に伴い、不具合施設の改善を進めてきたが、今後、大型団地の管渠を手始めに法定耐用年数に達する保有資産が発生することから、長寿命化計画に沿った施設の改築を進めることが課題となる。なお、管渠改善率が0.03%と極端に低いのは、管渠等が比較的新しいためであり、今後、老朽化が進むにつれ、改修の必要な管渠が増加することが予想されるため、その財源を確保していくことが課題となる。
全体総括
平成29年度からの地方公営企業法適用のため、保有資産の評価額など各種データを整理している。これらのデータを基に、減価償却費などの費用が適正に算定できるようになり、長寿命化計画に基づく適正な改修工事を進めるのに必要な投資額を確保するため、適正な料金算定を実施していくことが重要となる。