経営の健全性・効率性について
ここ数年は毎年10億近く起債残高を縮小してきており、それに伴い、収益的収支や経費回収率などの数値は好転している。ただ、その割合は微小である。特に起債残高が類似団体と比べて大幅に縮小しているものの、④企業債残高対事業規模比率では近年その数値が剥離してきている現象は、他団体において料金改定が進んでいる故の数値の表れであると推測される。当市においては、平成24年に上下水道審議会において料金改定の諮問があったものの、景気を理由に3年程度据置との回答がなされ、料金改定がなされていない。当市の下水道は現在布設の途上にあり、普及率はまだまだ低いものの、⑧のとおり水洗化率は全国の類似団体に迫っている。このまま接続件数を伸ばしていきたいが、一方、人口減少、高齢化の現在、空き家や経済的困難者など、一定割合の未接続は避けられない部分がある。これらを受け、流域下水処理場の能力は必要以上に過大なスペックになってしまっている。
老朽化の状況について
未だ建設の途中であり、管渠についてはまだ更新は必要な時期ではない。処理場についても、流域下水道なので、当市での維持管理は行なっていない。しかし、マンホールポンプについては耐用年数が15年程度とされているので、既に交換の時期を過ぎたものも多数ある。現在は修繕を施しながら使用可能な限りポンプの延命をしているが、一時期に交換することは人的にも費用的にも難しいため、中・長期的な計画を立て、交換工事を行なっていかなければならない。
全体総括
事業運営のために節減できる部分は節減してきたが、圧倒的に使用料の不足が会計を圧迫している。事業開始当初に採算を度外視した料金設定を行なったため、それが現在も影響していると思われる。中長期的な財政計画が必要であり、企業会計移行後、その決算を受け、適正な料金の算出を行い、それを計画に反映させる。その中で、料金改定は2~3回程度にわたり行なわなければならないであろう。一方、建設計画も財政計画と両輪で合わせて計画を立てなければならない。全体計画さえも、人口減少時代を向かえ大幅に見直さなければならないと思われる。